産業

仕事に関するよもやまばなし

G社が来年から本の電子販売を始めると宣言した。この話は、もう一年近く前に関係筋から内々に聞いていたので、意識の中では織り込み済みだが、うんざりという気分にはなる。G社様には今年たっぷりと振り回されたばかりだ。 米国で同社の「ブック検索」絡みの…

Kindle発売でぼんやりと思うこと

Kindleが日本を含む米国以外の各国でも発売と相成った。当面(その当面がどれぐらいの長さになるかは誰にも分からない)は、日本の出版産業がアマゾン、その他の流通業者やハードメーカーに協力して電子出版に雪崩を打つ、ということにはなっていないので、…

「本=編集」と「ブログ=非編集」の距離

三上さんがたいへん興味深い問題提起をしてくれました。以下に引用します。 出版ビジネスに関わる人たちの側から、本とウェブを区別した水準で、ウェブを手段にして、本を売るのが目的というありふれた構図、手法ではなく、本を本のままに、しかもブログに面…

本は編集者が作る

第1回ARGフォーラム「この先にある本のかたち:我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」の様子を報道やブログで拝見した。 ■『CNET Japan』8月21日■『かたつむりは電子図書館の夢を見るか』2009年8月18日 このフォーラムの後半で、ジャーナリストの津田大…

近藤はてな社長のインタビュー記事を読んで

近藤淳也さんのインタビュー記事が「ITmedia」に掲載されている。とても分かりやすく、内容的にはとてもすがすがしく、朝からよい記事を読んだといい気分になった。ビジネスは、というよりももっと敷衍して、何事かの目的を達成するにあたっての人の…

アラヤの中嶌さんにお会いした

翻訳会社アラヤの中嶌重富社長にお会いすることができた。アラヤはまだもうすぐ創立4周年というできたての会社だが、その短い期間のうちに、翻訳会社としては有数の規模にまで急成長を遂げている伸び盛りの企業だ。翻訳会社というと僕などは反射的に日英翻訳…

隣のいい人がたいがい仕事人間だったりする

梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく』に関するブックマークかはてなスターがご縁で知り合った『われ思う、故に…』のtsuyokさんは、アマチュア・オーケストラで打楽器をおやりになっていたり、コンサートスクウェアというクラシック音楽のコンサート告知サイト…

キッザニア社長の話を聞いた

つい先日、このブログで話題にしたエデュテインメント施設「キッザニア」の社長さん、住谷栄之資氏の話を仕事の関係で聞くことができた。マスコミで大きな話題のキッザニアを日本に輸入した人はどんな人なのだろうという好奇心を十分に満たしてくれた上で、…

『simpleA』ってドラッカーの副読本みたい

simpleAさん(id:simpleA)がお書きになっている秀逸なビジネス小話を読んでいると、2年前に亡くなったミスター・マネジメント、ピーター・ドラッカーが行うイノベーション・マネジメント論の続きを読んでいるような気分になる。“続き”が言いすぎだとすれば、…

キッザニアの行列に圧倒される

「キッザニア」をご存知だろうか。昨年の秋、東京は江東区豊洲に開業した子供向けの職業体験テーマパークである。開業早々大人気で、数ヶ月後まで予約がいっぱいで入れないという信じられないような活況を呈している。昨日たまたまそのそばを通り、入場を待…

新しいことに挑戦できない企業(わたくし)

企業のIT武装もどんどん進んでいる。現時点でもっとも人気があるトピックはSOAとSaaSというところだろう。昨日もある商用セミナーでSOA関連の講演を覗いたら、鈴なりの人だかり状態だった。二つのコンセプトは、何れもIT投資の効率化、コスト…

一流の経営

ハーバード・ビジネス・レビューの11月号は「一流の経営」がテーマ。特集の最初ではGEのケースが論じされている。 彼(GEの会長ジェフリー・イメルト)が掲げた新しい目標とは、内部成長(M&Aに頼らない成長)を維持することである。しかも、世界のGDP成長率…

『キーストーン戦略』

現在進行形の読書報告なのだが、マルコム・イアンシティ/ロイ・レービン著『キーストーン戦略 イノベーションを持続させるビジネス・エコシステム 』(翔泳社)を読んでいる。著者のイアンシティはハーバード・ビジネススクールの教授、レービンはマイクロ…

新聞大連合の話

日経、朝日、読売の勝ち組新聞社3社が共同でポータルを作るという。第四の権力の皆様も今のままだとちょっとまずいかなーと考えているようで、それなりに知恵を凝らし、プライドもちょっとだけ忘れて、従来ならば決してあり得なかっただろう3社のタッグを実…

携帯小説の隆盛とわたくし

数日前観たNHKのニュース番組で携帯小説がテーマになっていた。携帯小説だか、ケータイ小説だかいうものがすごい勢いで読まれていて、それらのうちよいものは講談社など大手の出版社が単行本にして百万を超えるヒットをしているというではないか。この番組を…

海外の新聞は写真もいい

アメリカの新聞にはうまくイラスト、グラフィックデザインが使われているという話を書いた。そのことはずっと感心していたことだったのだが、写真の質の高さについて気が付いたのは、つい先日のことだ。イラストの話を書くために久しぶりに紙版のニューヨー…

広告媒体としてのブログ

「ネットコミュニケーションの水先案内人」を自認する徳力さんからアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)に移るというお知らせを頂いた。ご自身のブログでもアナウンスが読める。http://blog.tokuriki.com/2007/07/7amn.html 徳力さんはNTTからベンチャー…

何故「がんばれ、はてな」か

つい先日、とある都内の酒場でCさんと飲んだ。Cさんはエンジニアではないが、IT業界の人で、このブログも時々読んでくれている。酒に酔いながらの会話なので、ぼんやりとしか覚えていないのだけれど、だいたい次のような展開となった。Cさん「この前、はてな…

グーグルの書籍検索に関する美崎薫さんの記事を読む

美崎薫さんが『MYCOMジャーナル』に立て続けにグーグルにまつわる話題を記事にしている。 ■ICADL2006 - Google Book Search技術担当者が語るデジタルアーカイブ(2007年1月9日) ■ICADL2006 - Google Book Search技術担当 Daniel Clancy独占インタビュー(2007…

『メディア・コンバージェンス2007』

アウトロジックの杉本幸太郎さんが著者の一人として名を連ねる『メディア・コンバージェンス2007』が出版された。我が国のICT産業の動きを報告する産業動向もの。視点は産業・ビジネスの側面に置かれており、技術の進歩がもたらす情報通信産業の変動を表題の…

技術とオリジナリティ

梅田望夫さんの『ウェブ進化論』は多様な読み方、啓発のされ方を誘う本だが、最初に読んだときに単独のトピックとしてもっとも印象に残ったのは、グーグルの社内ではアイデアは二束三文で、それ自体は価値がないという共通認識があるという記述だった。グー…

essaさんのトラックバックに触発されて

9月25日のエントリーでbookscannerさんと三上さんのディスカッションを紹介し、「アトムのビット化を進めるのはグーグルの企業目標に適っているし、競争戦略上そうやっているんじゃないかと思う」と書いたら、essaさんがその感想を引き取って魔法のように展…

Google, Untouchable

三上さんとbookscannerさんがグーグルの書籍の電子化・インデックス化の話でやりとりをしており、これが面白い。ITの分野にご興味がある方は、ぜひ、お二人のサイトに行って御覧頂ければと思います。■グーグルが本の電子化で狙う「うまみ」の正体は(『三…

年々歳々

長く使ってきたデイパックがそろそろ寿命というので30年前から買い物をしている登山用品の店に買い物に行った。久しぶりにザックの並びを見てびっくりしたのは、昔のブランドがかなりなくなってしまい、聞いたことがないメーカーが幅を利かせていたこと。フ…

竹の庭でグーグルのことなどを考える

夜半の強い雨は上がっていたが、垂れ込めた雲と台風の余波を思わせる風の朝。降られるのを覚悟で鎌倉までサイクリングに出かける。案の定、雨の合間を走り抜けて古都へ。竹の庭で有名な報国寺でしばし遊んだ。庭の写真を撮りたかったのだが、竹の茂みで光が…

プラクティカルに考えよう

はてなのRSSが新たに搭載した「キーワードウォッチ機能」はすごくいい。ためしに、僕が興味がある「吉田秀和」を登録したら、面白いブログをいくつも見つけることができた。http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/ http://d.hatena.ne.jp/HODGE/ 友達の友達は必ずし…

牧羊犬は頭を垂れる

このところ、『三上のブログ』では札幌大学の三上先生が繰り返しグーグルやWebの危険性について読者の注意を喚起していらっしゃる。■21世紀の思想を語るなら(『三上のブログ』2006年9月8日) ■アウラとクオリア(『三上のブログ』2006年9月9日) ■ウェブ進…