2017-01-01から1年間の記事一覧

夢、ノット指揮東京交響楽団の『ドン・ジョヴァンニ』

兄弟に刺されて人が死んだニュースを何度もテレビで見たのがいけなかったのだろうが、その夜にナイフを持った暴漢に正面から迫られる夢を見て大声をあげ、家族を夜中に起こしてしまった。その翌日、というのは一昨日のことだが、今度は、我が家の居間ぐらい…

ノット指揮東京交響楽団の『英雄』

2週間ほど前に前の音楽監督であるユベール・スダーンのコンサートを聴き、その好印象の余韻の中で聴いたコンサートだったが、いやはや、この日のノットと東響による『英雄』は期待をはるかに超える演奏で、大いなる満足を抱えて帰宅した。この日はドイツの有…

栃もち

水窪で富士川りんちゃんに連れて行ってもらったお菓子屋さん、小松屋製菓で栃もちを買った。 栃もちというのは、Wikipediaによれば、「灰汁抜きした栃の実(トチノキの実)をもち米とともに蒸してからつき、餅にしたもの」だそうな。 山国には、あちこちで昔…

水窪へ行ってきた

4月に手術をして半年が過ぎ、遠出をしてきた。浜松市天竜区水窪町。 2週間前に川崎で催されたブログの仲間の会に短い時間参加したのが、そもそもの話の始まり。術後初めての夜の外出で懐かしい顔の数々を見たとたんに元気が湧いてきて、ワイワイとおしゃべり…

ウィーン弦楽四重奏団リサイタル

今日はミューザ川崎にウィーン弦楽四重奏団を聴きに行ってきた。かつてのウィーン・フィルのコンサートマスター、ヴェルナー・ヒンクが1960年代に立ち上げた名アンサンブル。この手の名の知れたカルテットの例に漏れず、長く演奏する間にメンバーは変わって…

ウーロン茶で乾杯

一昨日は退院後初めて夜の時間帯に出かけてきた。 瀬川さんと下川さんの呼びかけに乗せて頂き、川崎の中華料理店での宴会。手術をした後、こうした場所に来るのは初めてで、生れてはじめての、お酒を飲まない飲み会。ご飯も少々口に入れた程度だが、1時間半…

選挙が終わった

衆院選が終わった。ともかくも節操のない政党が票を採れなかったのは慶賀の至りである。東京都議選からたった3か月でオセロゲームが起こったことになるが、あれはそもそもかつての民主党の政権取りと一緒で、ムードに乗っかった期待票を取りすぎていただけな…

明日は選挙だ

明日は衆議院議員選挙だ。 政治的信条に無自覚な典型的ノンポリ、無党派層の私は、「〇×党ーっ!、きゃー!」みたいな感情はどちらの政党にも持っていないので、選挙の時は政権与党が無茶をできない程度に節度を保ってもらうために、野党で勝負できそうな候…

ノット指揮東京交響楽団のハイドン、モーツァルト

前日まで熱が出たり、胃痛が続いたりして、これはコンサートに行くのは無理かなと思っていたら、朝起きると予想に反して気分はすっきりとしており、初台のオペラシティまで出かけてきた。ノット指揮東京交響楽団のこの日の出し物は、ハイドンの交響曲第86番…

ジェイムズ・R・ゲインズ著『「音楽の捧げもの」が生まれた晩――バッハとフリードリッヒ大王』

バッハの対位法に基づく音楽は実に難解であり、そのロジックを勉強したことがない私のような素人が味わえる部位は限られている。とくにそれを思うのは、その種の音楽として傑作と言われる『フーガの技法』を聴くときで、人好きのするメロディがあるわけでも…

ノット+東京交響楽団の細川俊夫『嘆き』、マーラー交響曲第2番『復活』

2ヶ月の入院など思いもよらなかった頃に購入していた音楽会のチケットのうち、5月に楽しみにしていたブルックナー5番の2つのコンサートは問答無用でキャンセルとなってしまった。人づてに聞くと、ともにいい夜だったようなので口惜しい思いをしたが、7月1…

平野啓一郎著『マチネの終わりに』

平野啓一郎の『マチネの終わりに』は、形の上では恋愛小説だけれども、同じ著者の『ドーン』がSFの形を取りつつ、実際にはコミュニケーションの問題を掘り下げようとしているように、主人公二人の恋愛それ自体の成り行きを出来事の柱としながら、恋愛につい…

平野啓一郎著『ドーン』、『私とは何か――「個人」から「分人」へ 』

入院患者となって無聊をかこつ身になり、体力の続く範囲で読書をした。読んだ本のうち、話題の音楽コンクール小説について語気は控えめに「物足りない」と感想を書いたら、それを読んだ友人が、おそらく音楽家を主人公にしている良質な小説という意味で、平…

友達とIT技術の有難味

昨日午後、ブログ仲間が企画したお楽しみ会が某所であり、勢川さん発案のビデオ中継のおかげでバーチャル参加をさせていただいた。「バーチャル」と書いたけれど、それは言葉のあやみたいなもので、無機質な病室に垂れ込めている者にとってはビデオ参加は「…

恩田陸著『蜜蜂と遠雷』

本を読む元気が出てきた。 難しい本、考えることを要求する本に立ち向かう体力はまだないので、よし、エンターテイメントを読もうと思った。そこで選んだ一冊が恩田陸著『蜜蜂と遠雷』である。今年の直木賞と本屋大賞のダブル受賞作。ピアノコンクールを題材…

千客万来

先週末にかけては何人もの友人が病室に足を運んでくれた。 以下の人は個人名を出しても問題ないと思うので紹介すると、金曜日には古い友人であるアウトロジックの杉本さん、その夜には、かの美崎薫さん。土曜日には前週にもお越しいただいた下川さんが木下さ…

二郎さんの番組

昨晩のNHK特集で「すきやばし次郎」の小野二郎さんの番組をやっているのを観た。「寿司の神様」であるところの二郎さんと、「天ぷらの神様」と呼ばれているという天ぷら職人の早乙女さんとの友情と職人魂を描いた番組だった。91歳になって、その分野の頂点に…

病室のドアが空き、そこに大きな人影が現れると

入院すると世話になるお医者さん、看護師さんと家族に毎日の生活を預けているような塩梅で、それが目下の世界のすべてである。 そこに、思いがけないタイミングで友人が顔を見せてくれると、白黒の病室が総天然色、4Kのテレビに変化したかのように感じられ…

生まれ変わったと思いたいが

手術が終わって、麻酔が外された酩酊状態の中、医者に名前を呼ばれ、「聞こえますか?!」と呼びかけられ、その次に目の前に映像のようなものが見えたような、見えないような気がして、それに向かって「はい」と答えると、その後に家族の顔が現れて、声をか…

ベルリンでのN響演奏会評も拾ってみた

N響の欧州ツアーについて、ロンドンでの好評を紹介したので、遡ってツアーを開始したベルリンではどうだったのかも検索してみた。見つけたのはデア・ターゲスシュピーゲル紙の短い評。文章の長さは短いけれど、実にしっかりと聴き、きっちりと表現した一文に…

もう一つロンドンでのN響評からご紹介

昨日に続いてNHK交響楽団の欧州公演評を追ってみた。今日紹介するのは、昨日のエントリーで取り上げたのと同じロンドン公演を、イギリスのクオリティ紙であるザ・ガーディアンが紹介したもの。 ■NHK Symphony Orchestra/Järvi review – an ensemble on brist…

N響の達成

久しぶりのエントリーです。2月の下旬にN響が欧州主要都市をまわって演奏会を催してきた。昨年末にこのブログに書いたように、今のN響ならばそれなりの評価を得るとは思ってはいたが、今日、録画していたベルリンでのコンサートの様子をやっと視聴し、これは…