2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

様々な樹の形

裏山に散歩に行く。横浜ではどこもかしこもかさぶたのように家に覆われてしまい、こうした光景に出会える場所が少なくなってしまった。こんな風に書くとSFというか、ユートピアの反対の、デトピア小説の舞台に住んでいるような気がしてくるが、たぶんそうな…

ある第九の演奏会で思ったこと

もう数日前のことですが、夜になって昼間の音楽会場で第九を歌った親戚と電話で話をしました。安くない切符を送ってくれ、楽しませてもらった礼を述べたのですが、相手は電話の向こうでがっかりした様子で「ごめんね、せっかく来てもらったのに」というでは…

今朝の富士山

世の中に完璧なものがあるとすると富士山はその筆頭ではないだろうか。西高東低、冬型の気圧配置になり、北の国に雪が降る季節になると、我が家のベランダから富士山が望めるようになる。

土門拳、写真批評、丸谷才一の吉田秀和評

このところ中年の手習いで写真集をちょっとずつ見ている。きっかけはこの秋入れあげた橋村奉臣さんの展覧会である。写真の面白さを少し分かったと言ったらこれはこれで言い過ぎで、橋村さんの写真には写真の技法的な可能性をぎりぎりのところまで追いつめな…

梅田さん、平野さんより我々の方が少しだけよく知っていること(『ウェブ人間論』をめぐる覚え書き3)

平野啓一郎さんは、匿名・顔なしを良いことに他人を不愉快にする類の情報発信をしている人達の存在に大いなる引っかかりを感じている。もちろん、賢明な平野さんは匿名はけしからんから止めた方がよいなどという言い方はしないが、こんなんでいいのかという…

もし梅田さんが『ウェブ進化論』でそれを言っていたら(『ウェブ人間論』をめぐる覚え書き2)

そもそも僕らは、彼の生業である経営コンサルタントとしての梅田望夫さんをまるで知らない。彼を個人的に知る少数の知人、仕事で付き合いがある一部のビジネスマンを除けば、世の中のほとんどすべての人が、あくまで“『Web進化論』の梅田望夫さん”か、せいぜ…

平野さん、腰砕けですよ(『ウェブ人間論』をめぐる覚え書き1)

今年の夏、勤め先での講演を梅田望夫さんにお願いした際、講演当日の夜にその印象をブログに書いた。彼の行動パターンをある程度理解した今となっては驚くことでもなんでもないのだが、梅田さんは数時間のうちにそれを見つけご自身のブログで紹介してくれた…

本気で書かれた文章に出会う

図書館で久しぶりに沢木耕太郎を借りて読んだ。彼の全集からボクシング以外のスポーツを素材とした作品を集めた『酒杯を乾して』。ブログを書く間もないほど忙しいですと書いておきながら、ちゃんと毎週お楽しみの読書を続けているのはインチキ野郎のように…

ロングテールを実感する年の瀬

本日、所用で横浜の山下公園の近所に出かけました。横浜でもっとも横浜らしい場所ですが、横浜スタジアムから港に下る目抜き通り「日本大通り」を飾る太い銀杏の並木にはまだまだ黄色い葉っぱがたくさん残っており、落ち葉が黄色い文様を歩道の上に描いてい…

「谷口ナツコ展」に行く

『mmpoloの日記』で絶賛されていた谷口ナツコさんの絵を帰宅途中に見てきた。年間延べ2000軒の画廊を回るというmmpoloさんが「天才画家」と称える人。へらへらした文章を書かないmmpoloさんが「真に独創的で才能のある画家が現れた!」と「!」付きで賞賛す…

お読みいただいている皆様へ

実はこの一週間ほどパソコンの調子が悪く、文字を入力する際にカーソルが勝手に変な場所に飛んでしまい、まともに文字の入力ができない状態でした。そのためブログの更新もだましだまし。かなりおろそかになりました。しばらく、ああでもない、こうでもない…

僥倖

週末、ある写真家の、未発表の、そしてまだ未完成の作品を作者の好意で見せてもらうことができた。そこに表現されてあるフォルムに心が震えた。写っている光景は誰もが日常的に目にしている東京の一日なのだった。写真家の目は、我々が網膜に映す平凡なフォ…

『大竹伸朗 全景 1955-2006』

大竹伸朗さんの画業を展観する『大竹伸朗 全景 1955-2006』(東京都現代美術館)を鑑賞した。11月の始めのことだから、もうひと月も前になるのだけれど、今日はその印象をご紹介したい。 会場の東京都現代美術館は新しくて、展示空間にも余裕があり、見やす…

ハイドンに辿り着く

以前、小林秀雄大先生がモーツァルトに比べたらハイドンには欠けたものがあるように聞こえてしまうと書いているのに生意気にも難癖をつけた。■疾走するかなしみ(11月13日) 村上春樹の『海辺のカフカ』を再読していたら、ハイドンについて村上さんが登場人…

再度いじめについて

久しぶりに会った顔見知りのフリー編集者に最近ブログを書いていますという話をしたら、非常に洗練された遠まわしな表現でネガティブなコメントをされた。そのときはそれが非難や批判の類には聞こえなかったのだが、あとで考えてみると、どうやら彼の言わん…

いじめについて思う

いじめによる自殺の問題を扱ったブログをいくつか見るうちに明治大学助教授の内藤朝雄さんのブログにぶつかった。いじめの問題を取り上げてきた研究者の方。初めてその主張に接して、ブログで読むことができる範囲に関しては、全面的な支持を表明したいと思…