『君たちはどう生きるか』、『ゴジラ-1.0』、『PERFECT DAYS』

この1年で映画を3本見た。『君たちはどう生きるか』、『ゴジラ-1.0』、『PERFECT DAYS』の3本。どれも、たまたま今年のアカデミー賞で候補になった日本映画の今年を代表する作品だ。それぞれに見応えがあったが、どれもしっくりとはこなかった。 『君たち…

小澤征爾の音楽人生と評価

戦後大衆文化の担い手、日本が世界に誇る音楽家、“世界のオザワ”であったところの小澤征爾について思い出の形で語る文章はWebの上でもたくさん読むことができる。「Yahoo!ニュース」なんかでも取り上げられるし、誰に対しても温かく、人を分け隔てしない性格…

小澤さんが亡くなった

小澤征爾さんがあちら側に旅立たれた。戦後日本のインテリ、大衆に及ぼした息の長い影響力という点で、小澤征爾に比肩する個人は数えるほどしかいないんじゃないかと、おそらく影響を受けた砂の真砂の一粒である自分などは思ってしまうのだが、もう時代はそ…

梅野記念絵画館で「All is vanity. 虚無と孤独の画家――山本弘の芸術」を見る

山本弘という絵描きさんを知っている人は多くはないはずです。よほどの絵画好きでもない限り、知りようがない存在ですが、『mmpoloの日記』の曽根原正好さんとの縁で知ることになり、切っても切れない間柄になったという意味では、私にとってのブログの仲間…

その日、柏手を打って

瓦礫があちこちに積み重なった戦後のウィーンに知人を訪ねたら、当人は先日なくなったと伝えられ途方に暮れる。金沢赴任の夫が行方知れずになって東京から調査に出向く女性。そんな小説が今の時代に描けるかと問われたたら、できなくはないが相当の筆力が著…

間瀬の伊豆みかん

数十年来お世話になり続けているYさんから伊豆の銘菓を頂きました。熱海の山と海の境目にちょこんと鎮座している網代駅の、改札口を出ですぐにお店がある間瀬は、かつて水まんじゅうをYさんからご馳走になったことがあり、そのおいしさにほれぼれとなったお…

訃報

ここに書けば、遅かれ早かれ反応してくれると思っていた相手から、ついに返事は来ませんでした。いっぱいコメントもらったなあ。

WBCはダルビッシュの大会でしょう

WBCは天邪鬼ではない、ほとんどの野球好き日本人にとってハッピーな時間でしたね。で、大会が終わって数日が経った今もテレビを付けると大谷さんの話一色なんですけど、本当はもっとダルビッシュさんの貢献とメッセージについて語るべきだと思いますけどね。…

誰もいない坂道で歌を歌う

誰も来ないブログというのは、おそらくそういうものでしょう。気がせいせいして、なんだか風通しがよく、この風景は悪くはない。どんな風景か。よく分かりませんけどね、少なくともここは公道で、いつ誰が来るかもしれず、やはり誰も来ないかもしれず、そん…

あまりに自分本位なクラシック演奏家たち

クラシック音楽のコミュニティ向けに情報提供を長く続けている友人との会話のなかで「極端に言うと音楽家はあまりに自分本位」という一言を耳にしました。バスの中から見た街の一コマのように、目の前に突然現れて去っていったその言葉が、具体的に、音楽家…

フルートの楽しみをあらためて思い起こす

素人の笛吹が芸大出の若い先生に少し教わったフルートですが、パソコンのタイピングで痛めていた腱鞘炎がひどくなり、結局1年少々でギブアップしてしまいました。残念といえば残念なのですが、これも物事の自然な成り行きかなとも思います。 若いころかじっ…

NHK交響楽団のウィーン新聞評の日本語訳について

久しぶりの投稿になります。 NHK交響楽団が2年ぶりの欧州公演をやっていて、その評の日本語訳が次々とN響のホームページで紹介されている。あちらでの評価が気になる、あるいは良い評判を待っているN響ファンがたくさんいるということなのだろうと思う。 で…

習い事の価値

私が敬愛する小説家の開高健は、おそらく運動不足や不養生に端を発するものであったろう体の不調に対処するために、50歳を過ぎてから週に2日の水泳を始めた。晩年の彼は、数々のエッセイで、様々な変奏を行うようにその「五十の手習い」に触れている。開高の…

生れてはじめての習い事

もう5か月もブログを書いていないということに気がついた。しばらくご無沙汰していたけれど、そんなに長くほったらかしにしていたとは思わなかった。 この間、何をしていたのかというと、自由になる時間を使ってフルートを吹いていた。ほぼ40年ぶりのことだ…

大将が腹を切れと言えば、切れなければならない社会はなくならなくてはならない

米式蹴球の世界が俄然賑やかになっている。信じられないことにテレビのトップニュースだ。かれこれ12年間も選手を続けている我らが蹴球家によると、件の紅組大将が「イカれている」のは、業界では周知の事実だそうで、今回の出来事は「さもなりなん」を超え…

ボチボチでんな

またまた大谷翔平選手に関連した記事の話になるのだが、こんなのがあった。 ■大谷翔平、左腕から初Hは先制適時打 エンゼルスは控えめ?称賛“ボチボチでんな”(2018年4月12日、THE ANSWER編集部) https://the-ans.jp/news/21634/ 4月12日のエンジェルスの公…

また大谷さんの話で恐縮ですが

また、大谷翔平選手の記事の話になるが、昨日のこの記事はよかったな。 ■豊浦彰太郎『酷評から絶賛へ 米メディアの大谷翔平報道「手のひら返し」をどう解釈すべきか』(yahoo!Japanニュース 2018年4月10日(https://news.yahoo.co.jp/byline/toyorashotaro/20…

日本のスポーツ記事の見出しを見て思ったこと

大谷翔平選手の活躍が大いに話題になっている。今もNHKが夜10時のニュース番組『クローズアップ現代』の枠で大谷選手を取り上げていたのを見たばかり。アメリカの新聞記事電子版を見ても大谷のニュースはここかしかにあり、日本人選手への注目の度合いとして…

Facebookのこと

Facebookに登録したのが2009年頃らしいのだが、それ以来、まれにアプリを開いてみることはあっても、ほとんどまったくと言ってよいほど能動的には使っていなかった。つまり、コメントしたり、「いいね!」を付けたりなどしないで、単に最近どんな投稿がある…

ジョン・アダムスの『アブソリュート・ジェスト』は面白い

1月27日(土)と28日(日)の2日、NHK交響楽団が、アメリカの作曲家であるジョン・アダムスの『アブソリュート・ジェスト』を演奏する。2015年3月にウィーンを旅行した時に、ちょうど作曲者のジョン・アダムス本人がウィーン交響楽団に客演をしていて、この…

宮田大チェロリサイタル

昨日はミューザ川崎で宮田大さんのチェロを聴いた。 チェロのリサイタルを聴くのは生れてはじめてのこと。弦楽器のリサイタル自体、これまで一度も行ったことがない。自分自身に対して「どうした風の吹き回し⁈」と言いたくなる選択なのだが、ちゃんと理由は…

夢、ノット指揮東京交響楽団の『ドン・ジョヴァンニ』

兄弟に刺されて人が死んだニュースを何度もテレビで見たのがいけなかったのだろうが、その夜にナイフを持った暴漢に正面から迫られる夢を見て大声をあげ、家族を夜中に起こしてしまった。その翌日、というのは一昨日のことだが、今度は、我が家の居間ぐらい…

ノット指揮東京交響楽団の『英雄』

2週間ほど前に前の音楽監督であるユベール・スダーンのコンサートを聴き、その好印象の余韻の中で聴いたコンサートだったが、いやはや、この日のノットと東響による『英雄』は期待をはるかに超える演奏で、大いなる満足を抱えて帰宅した。この日はドイツの有…

栃もち

水窪で富士川りんちゃんに連れて行ってもらったお菓子屋さん、小松屋製菓で栃もちを買った。 栃もちというのは、Wikipediaによれば、「灰汁抜きした栃の実(トチノキの実)をもち米とともに蒸してからつき、餅にしたもの」だそうな。 山国には、あちこちで昔…

水窪へ行ってきた

4月に手術をして半年が過ぎ、遠出をしてきた。浜松市天竜区水窪町。 2週間前に川崎で催されたブログの仲間の会に短い時間参加したのが、そもそもの話の始まり。術後初めての夜の外出で懐かしい顔の数々を見たとたんに元気が湧いてきて、ワイワイとおしゃべり…

ウィーン弦楽四重奏団リサイタル

今日はミューザ川崎にウィーン弦楽四重奏団を聴きに行ってきた。かつてのウィーン・フィルのコンサートマスター、ヴェルナー・ヒンクが1960年代に立ち上げた名アンサンブル。この手の名の知れたカルテットの例に漏れず、長く演奏する間にメンバーは変わって…

ウーロン茶で乾杯

一昨日は退院後初めて夜の時間帯に出かけてきた。 瀬川さんと下川さんの呼びかけに乗せて頂き、川崎の中華料理店での宴会。手術をした後、こうした場所に来るのは初めてで、生れてはじめての、お酒を飲まない飲み会。ご飯も少々口に入れた程度だが、1時間半…

選挙が終わった

衆院選が終わった。ともかくも節操のない政党が票を採れなかったのは慶賀の至りである。東京都議選からたった3か月でオセロゲームが起こったことになるが、あれはそもそもかつての民主党の政権取りと一緒で、ムードに乗っかった期待票を取りすぎていただけな…

明日は選挙だ

明日は衆議院議員選挙だ。 政治的信条に無自覚な典型的ノンポリ、無党派層の私は、「〇×党ーっ!、きゃー!」みたいな感情はどちらの政党にも持っていないので、選挙の時は政権与党が無茶をできない程度に節度を保ってもらうために、野党で勝負できそうな候…

ノット指揮東京交響楽団のハイドン、モーツァルト

前日まで熱が出たり、胃痛が続いたりして、これはコンサートに行くのは無理かなと思っていたら、朝起きると予想に反して気分はすっきりとしており、初台のオペラシティまで出かけてきた。ノット指揮東京交響楽団のこの日の出し物は、ハイドンの交響曲第86番…