2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『悪童日記』

アゴタ・クリストフの『悪童日記』を初めて読んだときには、文学にはまだこんな方法が残っていたのかと率直に感動した。今日久しぶりに通勤の行き帰りで読み返し、読み終えた後に奥付を見て僕が買った5刷が1992年5月、初版が91年1月だったことを確認する。そ…

アーノンクールのモーツァルト

週末にNHK教育テレビで放映したウィーン・フィルの東京公演の演奏を録画で聴く。指揮はニコラス・アーノンクール。曲目はモーツァルトの三大交響曲。 アーノンクールはあまり好んで聴く演奏家ではない。でも、初めて聞いたときのことを覚えている数少ない演…

羊をめぐる冒険

昨日頂いた美崎薫さんのコメントの中に「村上春樹の著作の中で『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』が最も好きというひと言があった。美崎さんが作っているSmartCalendarと『世界の終わり』に出てくる獣の頭骨のアナロジーのせいばかりではない…

オーディオ・スパゲッティ

村上春樹さんのエッセイは小説ほど面白くない。『村上朝日堂』など、軽妙洒脱の域を狙うエッセイをたくさん書いてはいるのだが、この人は真面目なものじゃないととびきりの芸に接した感動が届いてこない感がある。軽いエッセイに向いている質ではないのだと…

大江健三郎書店

仕事で池袋に行った帰り道にジュンク堂本店に立ち寄ったら「大江健三郎書店」という試みに行き当たった。要は広い店内の一角に大江さんが推薦する和書を並べた「書店」を作る試み。今年の6月に開店し、12月10日まで開いているそうな。面白かった。http://www…

再び『hayakarの日記』

更新されるたびに見ては唸る『hayakarの日記』。同じサラリーマンとして身につまされる粋なフレーズ。思わず頬がゆるむ、卓越したデッサン力に裏打ちされた鉛筆画。つまらない連載漫画の代わりにどこかの新聞が掲載してくれないものか。http://d.hatena.ne.j…

Happy Halloween!

昨日のエントリーにコメントを残してくれたBeatLogさんは、ある日本の伝統産業に対してマーケティング関係のサービスを提供する会社の経営者。昨日お会いした際に、話は勢い、「和」や伝統、文化と実業、四季など日本が本来持っているよきもの、よきことをめ…

冬が来る

朝起きると、ほぼ一日降り続いた昨日の雨は綺麗に上がり、雨の前までは青々とした山肌を見せていた富士山が、まだ明け切らない大気の中、書き割り絵のような真っ白姿で鈍い光を静かに放っているを目にする。刷毛ではいたような、明と暗、二種類の空とこの世…

日本百名山

高校時代山岳部で、20代までは暇を見つけては山に出かけていたのですが、子供が出来てからはめっきり。最近は年に1,2度近くの丹沢山塊に日帰りで出かけるだけの元“山屋”ですが、ときどき無性に“ああ、山に登りたい”と突発的な欲望が頭をもたげることがあり…

小林秀雄の断定

吉田秀和さんは優しい声と柔らかな文章の人なのに、厳しいことをはっきりとお書きになる。『マネの肖像』を再読していたら、こんなフレーズにぶつかった。 「空は青い。」といっても、その「青」とはどんな青であるか。青にもほとんど無限の変種があるのであ…

美崎薫さんとモーツァルトの近さ

三上さんが出してきた「美崎さん=疾走するかなしみ=モーツァルト」説はなかなか含蓄があります。美崎さんはメランコリーの人じゃないと思うので、その限りでは当たらないと思うのですが、未開の領域を「疾走」する点ではなるほどそのとおりかもしれません…

Blog Life is Timing

茂木健一郎さんの『クオリア日記』に茂木さんと梅田さんの対談の話が書いてある。 インターネットが切り開いた、 誰でも知を得られるという状況の向こうに 見えているもの。 それは、今までだったらunderdog(負け犬) だったものたちにとっての逆襲のチャン…

これは便利、SmartCalenderをメモ帳にする

美崎薫さんの「SmartCalender」を使い始めました。用途はパソコン上のメモ帳として。これは便利。はじめてパソコンでアイデアをメモるのに実用的な道具を手に入れた感があります。 SmartCalenderは、モードレスであることを目標に作られた多機能なファイル管…

疾走するかなしみ

昨日のエントリーに対して三上さんからコメントを頂いた際に「中山さん、小林秀雄の「モーツァルト」の「疾走する悲しみ」覚えてますか?」と言われてびっくりしました。理由は二つあります。一つは今日、今年初めてのプロの音楽家のコンサートに行ったので…

秋晴れの日曜日

北日本は荒れ模様の天気らしいが、昨日の雨が空気を綺麗に洗って横浜の我が家からは一日中見事な富士山と丹沢を眺めることができる。冬がやってきた。 HASHIこと写真家の橋村奉臣さんにお会いし、雑談を重ねる中で新しいHASHIさんの試みに協力を依頼され、喜…