2016-01-01から1年間の記事一覧

ノット+東響の『コジ・ファン・トゥッテ』

オペラはほとんど観ない。『フィガロの結婚』も『ドン・ジョヴァンニ』もまだ生を観たことがない。『コジ・ファン・トゥッテ』を聴いたのは、これが生れてはじめて。とても、とても楽しかった!(2016年12月9日、ミューザ川崎)モーツァルトのオペラで観たこ…

ノットと東京交響楽団のシューマン交響曲第2番

「トリが地味な曲だから、このコンサートはやめとこ」と思っていた東響の定期(トリスタンの第一幕への前奏とデュティーユのチェロ協奏曲、シューマンの交響曲第2番の3曲)に行ってきた。一週間前にもらった東響からの営業メールを読んだら、なんだか急にト…

Twitterがオーケストラを導く

この前のエントリーのコメント欄で、id:mmpoloさんがTwitterの影響力について話をしてくれた。その話に触発されて少し書いてみたい。TwitterとFacebookは、ときどき読みますぐらいの利用しかしていないのだが、ここ半年ぐらい、自分が足を運んだコンサートの…

日本のオーケストラは日本の音がする

10月に欧州公演に臨んだ東京交響楽団の、ドルトムントでの新聞評を見つけて紹介したら、常日頃の何倍ものアクセスがあった。何倍なんてものではない。このブログはたくさんに人に読んでもらいたいだとか、お客さんを増やしたいだとかいう動機をすでに忘れて…

シモーネ・ヤング+東京交響楽団のドヴォルザークとブラームス

欧州ツアーから戻ってきた東京交響楽団のコンサートに行ってきた。シモーネ・ヤングの指揮でドヴォルザークのチェロ協奏曲とブラームスの交響曲第4番のプログラムである(2016年11月3日、ミューザ川崎)。シモーネ・ヤングさんは、女性指揮者としては今いち…

ドルトムントでの東京交響楽団のコンサートに対する現地の新聞評

東京交響楽団がジョナサン・ノットに率いられて欧州5都市の演奏旅行を敢行した。そのフィナーレを飾るべくドイツのドルトムントで行われた演奏会(2016年10月27日)の評が、現地の新聞『ルール・ニュース(Ruhr Nachrichten)』のウェブ版に掲載されている。ht…

ノット+東響のベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」、ショスタコーヴィチ「交響曲第10番」

東京交響楽団が創立70周年記念として行う欧州ツアーのもう一つの演目を聴いてきた(10月15日、サントリーホール)。前半がイザベル・ファウストの独奏でベートーヴェンのバイオリン協奏曲ニ長調、後半がショスタコーヴィッチの交響曲第10番。このプログラム…

ノット指揮東京交響楽団のブラームス交響曲第1番

昨日、ジョナサン・ノットと東京交響楽団が欧州ツアーにこれから持っていく二つのプログラムの一つを聴いた(10月9日、タケミツホール)。曲目は、武満徹の出世作で東響が委嘱をした「レクイエム」と、ドビュッシーの「海」、それにブラームスの「交響曲第1…

フィールド・オブ・ドリームス

末期の西鉄から太平洋クラブ、クラウンライターまでのライオンズファン、ダイエー以来のホークスファンだ。ホークスが大好きだった親父が死んでからというもの、思いがけず、ますます熱心にホークスの試合を追いかけるようになった。「黒い霧」で池永が追放…

ユベール・スダーン指揮東京交響楽団のベルリオーズ『ファウストの劫罰』

今日は東京交響楽団の創立70周年記念演奏会と銘打たれた『ファウストの劫罰』をミューザ川崎で聴いてきた。指揮は3年前まで音楽監督をだったユベール・スダーン。『ファウストの劫罰』はオケに独唱、合唱が加わる大曲で、なかなか生で聴く機会がない。曲の最…

ポール・ホフマン著『ウィーン 栄光・黄昏・亡命』

訳者のあとがきによると、本書の著者であるポール・ホフマン(1912-2008)はニューヨーク・タイムズに勤めたアメリカ人のジャーナリストで、数多くのノンフィクション作品を残している人物だが、そもそもの生まれはウィーン。本書は一人のジャーナリストが故…

サーリアホの「トランス」、「オリオン」

火曜日にサントリーホールでカイヤ・サーリアホのオーケストラ作品を聴いてきた。サントリー音楽財団が毎年この時期に開催している現代音楽の催し「サマーフェスティバル」の一環として開催され、オーケストラは東京交響楽団だった。最近、短期的な記憶がま…

広上淳一とNHK交響楽団の「ヒーロー&ヒロイン大集合」を聴いた

もう一月ほど前のことになってしまうが、ミューザ川崎が数年前開催している夏の音楽祭「ミューザサマーフェスタ2016」で、広上淳一指揮するNHK交響楽団がテレビ、映画のヒーローもののテーマ音楽を集めて演奏するというコンサートを聴いてきた(2016年7月30…

ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団のブルックナー交響曲第8番

ジョナサン・ノット指揮の東京交響楽団でブルックナーの交響曲第8番を聴いた(7月16日、サントリーホール)。 ジョナサン・ノットは、彼が16年間の長きにわたって務めてきたバンベルク交響楽団の音楽監督としての仕事を、2週間前にこの曲を振って終えてきた…

フランソワ・リリーのリヒャルト・シュトラウス

フランソワ・リリーという、いかにもフランス人らしい名前のオーボエ奏者を生まれて初めて聴いて、あまりの素晴らしさに度肝を抜かれた。 6月17日のNHKホールで行われたN響の定期演奏会でのことで、ここでリリーはリヒャルト・シュトラウスのオーボエ協奏曲…

『一柳慧の音楽』

タケミツホールで毎年開催されている現代音楽のシリーズ「コンポージアム」が今年取り上げたのは一柳慧。5月25日のオーケストラコンサート『一柳慧の音楽』に行ってきた。 この日、秋山和慶指揮東京都交響楽団が演奏したのは「ビトゥーン・スペース・アンド…

不愉快な悪夢

昨朝、起きがけに見た夢は、見ている間中、不愉快な気分が蓄積し続けるようで、何故私の脳はそんなイメージを作り出すのか、自分自身に尋ねてみたくなった。 とは言え、夢としては、それほど奇怪でも、奇抜でもない。むしろ、書割はその正反対で、実にちまち…

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』の不条理

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』は、大手から弱小レーベルまでさまざまクラシックレーベルを巻き込んで、インターネットにおけるクラシック音楽の録音媒体販売のプラットフォームになりそうな勢いだが、これはつまり、レコード・CD産業は死んだと…

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』のどこがすごいか

クラシック音楽のストリーミングサービス、『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』がいいと書いたが、もちろん「pro」の部分ばかりでなく「con」もある。 機能的に不足しているのは『ギャップレス再生」に対応していない点で、トラックごとに間合いが入っ…

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』を利用し始めた

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』というサービスがあることは以前から知ってはいたが、数年前に少し覗いてみた時にはそれほど魅力のある商品だとは思わなかった。ところが、年明けにクラシックに詳しい知人に最近の状況を教えてもらい、久々にその…

アーノンクールが亡くなった

指揮者のニコラス・アーノンクールが86歳で亡くなった。古楽復活のパイオニア的存在で、この人がいなかったら、クラシック音楽演奏の歴史は違う進み行きになったのは間違いないほどの、決定的な影響力をその世界に与えた人物だった。好きか嫌いかはさておき…

クリストフ・ヴォルフ著『モーツァルト 最後の四年間―栄光への門出』

「ヴォルフガング・アマデーウス・モーツァルトの創作人生の最後の四年間を、早すぎる死という破局に固定化させることなく扱うことはできないだろうか。」という一文で始まる『モーツァルト 最後の四年間―栄光への門出』は、著名なバッハの研究家であるクリ…

自己愛の発露としてのブログにならないように

ということを考えると、まあ回数稼ぐ必要もなし、ということで最近あまり書いていないのですが、ブログを見捨てているわけでは全然ありません。未だに、ますます頼もしい味方かなと思っています。