フィールド・オブ・ドリームス

末期の西鉄から太平洋クラブ、クラウンライターまでのライオンズファン、ダイエー以来のホークスファンだ。ホークスが大好きだった親父が死んでからというもの、思いがけず、ますます熱心にホークスの試合を追いかけるようになった。「黒い霧」で池永が追放された直後のライオンズから応援しはじめ、Aクラスは夢のまた夢というチームを必死で声援していた頃を思うと、いまのホークスは夢のまた夢が現実になった超一流チームである。こんなことで毎日がうれしくなるのだから、庶民は世話がない。

ところで、さはさりながら、今年の野球はつまらない。正確には去年に始まったことだが、ヤフオクドーム(福岡ドーム)が従来の外野フェンス前に観客席を増設し、広かった球場はパリーグでもっともホームランが出やすいミニ球場になってしまった。ホームランを増やしてファンを喜ばせようという、おそらく孫正義さんあたりの魂胆だろうが、せっかく広い球場でダイナミックな野球を根付かせようと作ったはずの福岡ドームは、東京ドーム並みの小さな球場になってしまった。いまは札幌ドームをテレビで見るたびに、その広さが口惜しい。

強打者の目の覚めるようなホームランはたしかに心躍るが、当たり損ないのどよーんとした外野フライが、なすすべなくフェンスにもたれる外野手の頭の上を超えていき「ホームラン!」となるさまが楽しいなんて、まともな野球ファンは思わんだろうというのが個人的な意見だ。実は野球の花はホームランではなく三塁打。そうであるはずなのに、外野フェンスを前に出し、外野手の足と強肩がバッターランナーと勝負する瞬間をなくしておいて、「ホームランがたくさん見られてうれしいでしょ!」はないものだと思う。

どうせホームランが欲しいのなら、いっそ外野のフェンスをなくせばよかったのに。外野はフェンスもスタンドもなくしてしまう。外野が追いつけないライナーはみんなフェンスのないフィールドをコロコロと際限なく転がっていく。二塁打も、三塁打もない。外野手を抜けば、ボールはコロコロと百道の砂浜まで転がって玄界灘に至り、すべてホームラン! これならホームランは抜群に増える。外野手は打球に間に合うか、ホームランか、球際の真剣勝負にさらされる。ちまちました野球とは無縁の、豪快なフィールド・オブ・ドリームス