2009-01-01から1年間の記事一覧

皆様よい年をお迎えください

今年のブログの書き納めです。 来年が皆さんにとってよき年となりますよう、大晦日、横浜より望む富士山とともにお祈り申し上げます。

新しい出版の担い手を待望する

この業界に長い人に話を聞くと、雑誌を含めた出版物の市場はここしばらく“2兆円産業”という言われ方をしてきたらしい。いちばん威勢のよかったのは90年代の半ばで、その頃には2兆5千億だか、6千億円だかまで出版市場は拡大した。しかし、それ以降は坂道をゆ…

個人的には、今年はいろいろなことがあった。親父が昨年の12月に死んで、それを契機に変わったこともあれば、それとはまったく異なる個人的な理由に由来することも、さらには経済のトレンドに翻弄された部分もあるが、ともかく自分を包む世界が大きく変容し…

日本語の可能性と日本語の壁

昨日、日本語でブログを書いていることを表現するのに“内弁慶”というタイトルを選んだが、適切な表現ではなかったかもしれないと思った。自分の外側にある外界に内と外という区別があって、その“内”に向けて表現をしている、その“内”は日本語が通じる範囲、…

内弁慶

先日、久しぶりに箱根に行った。真冬の富士の雪はいつもながら眼に滲みたが、それ以上にアジア各国から来た観光客の大群を前に、世界の経済力の変化をこの目で見る思いがしたことの方が正直なところ印象が深かったかもしれない。以前、十数年前に同じ大涌谷…

マッチョな言葉

「マッチョ」という表現のしっかりした由来や、きちんとした意味を知らずに使っているので、そもそもこの論にはいくらでも突っ込みどころはあるとは思うが、ともかく続けると、最近の私はマッチョな言葉が嫌い。酔っぱらって高揚し、エベレストの頂に立って…

思いがけなかったこと

勤め先で先頃刊行した本が、『池田信夫blog part2』で“今年のベストワン”と褒めて頂いたうえに、「この10年間の本ベスト10」の4位にランクインしている。http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51327026.htmlhttp://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/513…

紋切り型の表現

新聞や雑誌を文章を読んでいると、書かれている意味内容と同時にレトリックが気になる。ネガティブな方向に気になるのは、紋切り型の表現を安易に使っているケースで、自分もよくやる間違いではあるが、たとえば、次のようなケースがそれに当たる。 米国時間…

松井を送るニューヨークタイムズの読者たち

松井秀喜がヤンキースを離れるという一報がニューヨークタイムズ電子版に掲載されてから、短時間に多くの読者メッセージがその記事のコメント欄に寄せられている。松井に対し、どれも驚くほど好意的で、それどころか、その多くが思い入れたっぷりに感謝と惜…

青春時代

私は正しい、他人は馬鹿だ、世の中が悪い、という類のメッセージを、しばしば聞く。きっと昔から、世の中が大きく変化をして、旧来の価値観や様式がうまく機能しなくなる時代には、社会とのズレの中で自身を正当化するメッセージを周囲の誰彼に吐くことで心…

最後の授業

20代前半に海外でたいへんお世話になった独文学の先生が定年を迎え、最終講義をなさる。そのお知らせを頂き、雨の中央大学に足を向けた。15分遅れで教室に入った。先生とは日本で一度、20年ほど前にお会いして以来。その間、電話で数度お話をしたことはあっ…

心持ち

以前書いたエントリーを拾い読みしていると、書いている当時の気分や気持ちの持ちようが見える気がする。書いている内容自体よりも、その書いている自分の姿勢が気にかかる。心が安定していなければ、目に映るものはすべて灰色がかり、やることなすこと万事…

いま起こっている変化は

このところ、仕事を通じ「世の中が変化している」と頭のどこかがアラートをあげっぱなしになっている感覚がある。その感覚は微かで、ちゃんと言葉になっているとは言えないものだったのだけれど、感じていたもどかしさは日本語にするとそういうことだ。変化…

新日フィルと小澤征爾のブルックナー交響曲第3番

一月に同じコンビで、やはり同じ作曲家の第一交響曲を聴いたときにもブログに感想を書き、「3番辺り聴いてみたい」と書いたら、最近は年に一度しかタッグを組まないというこのコンビで、当の3番をやると教えられ、今年も会員のKさんにお願いしてチケットを入…

HASHIさんのトークショーにて

今日は写真家のHASHIさんが国立西洋美術館で開催した、写真評論家の飯沢耕太郎さんとのトークショーにお邪魔してきた。年配から若い方までHASHIさんのファンは実に広がりがある。日本の写真界の現状、日本の社会の現状に対するHASHIさんの歯がゆい思いが見え…

祝『勢川びきのX記』N系新聞連載開始

タイムマシンに乗って近未来に行ってきた。アウトレットで購入した昨年モデルの安物マシンは電池がたったの20分しか保たず、ほとんど何もできなかったにのはがっかりした。それに東京の街中は、変わったといっても店舗が少し入れ替わっている程度で、こんな…

節目

子供の頃は高度経済成長の真っ盛りで、大人になれば勤め人になって年功序列・終身雇用の社会を生きるのが当たり前という規範が含まれている空気を吸って生きてきた。その社会のムードに小さな個人として自分自身にしか意味をなさない反発をするように転職・…

目黒の夜

「去年の今頃は横浜で盛り上がりましたね」などと1年前の会を肴にしつつ、夜の目黒で和気藹々と盛り上がったのは総勢8名。phoさん、kanyさんのご夫婦、脇さん、比嘉さんといった4人の20代に、2時間以上の帰り道をいとわず駆けつけてくれた倉田さん、こちらは…

目黒でお会いしましょう

週末は子供の部活動観戦で過ごしました。当初の計画通りならば、2回目の「シュンポシオン横浜」を開催していたはずの週末でした。参加を予定していた皆さん、運営に協力を申し出て頂いた皆さんには、あらためてお詫びを申し上げます。今は、春先にやるか、そ…

田口ランディ『モザイク』

奥付を見ると田口ランディの『モザイク』は2001年に出た小説だから、それから8年が経っている。遅れてきた読書の記録は、相手が古典的名作でもない限り、やはりどこか間の抜けていて、個人のブログぐらいでしか扱う媒体はないなと思ってしまう。この感情はど…

授賞式にて

『つながる脳』が自然科学部門を受賞した今年の毎日出版文化賞授賞式に出席してきた。会場では著者に初めて挨拶をすることができた。文学・芸術部門を受賞した村上春樹さんは欠席だったが、特別賞受賞の山崎豊子さんは車椅子で会場にいらしていた。http://ma…

さえずりとつぶやき

Web

どうしてみんなtwitterで情報発信をすることを「つぶやく」と表現するのだろう。あれはサービスの名称に即して言えば、「さえずる」「ぺちゃくちゃしゃべる」であるはずで、二つの言葉のイメージには大きな乖離がある。あのサービスを考えたアメリカの人たち…

ブログ

しばしばというべきか、ときどきというべきか分からないが、ここでは音楽を体験した話を書いている。コンサートを聴いたり、CDを聴いたりした感想文である。そうした話を書く際、好き・嫌いの吐露を超えて何かにつながる感覚が表現できないのは、見えてい…

「飲み会」日取り変更のお知らせ、ついでに「シュンポシオン目黒」と改名

先日、11月30日(月)に開催すると宣言した「ただの飲み会@目黒」ですが、参加者の都合により(正確には主催者のいい加減な企画のせいで)、12月1日(火)に日程を変更をさせて頂きます。場所は、目黒の「BLACK LION」。夕刻、ぶらっときて、おしゃべりをし…

事業仕分け雑感

この一週間、事業仕分けなるものの映像がニュースのたびに流れていたが、あれはその趣旨は別にして、見ていて気持ちのいいものではなかった。会社員をやっていれば、ほとんどの者が知っていることだと思うが、正しくない部分を指摘するのは新しい何かを提示…

新日フィルで聴くリンドベルイ、鏡としての音楽

先日、会員の友人のピンチヒッターで新日本フィルの演奏会を訪れた。昨年の小澤征爾によるブルックナーの1番以来のオーケストラコンサートである。曲目はシベリウスの『トゥオネラの白鳥』、リンドベルイのクラリネット協奏曲、ブラームスのセレナード第1番…

「ただの飲み会@目黒」開催のお知らせ

読んで字のごとし。ブログで知り合った皆さんとビールを片手に楽しくおしゃべりをしましょうというだけの集まりです。日取りは12月1日(火)(11月30日(月))。前回が9月2日でしたから、からおよそ3カ月ぶりの開催となりますが、時間をつくれそうな方はぜ…

HASHIさんの展覧会を見に行く

上野の国立西洋美術館で開催されている「ローマ未来の原風景byHASHI」を見に行く。ニューヨークで活躍するHASHIこと写真家の橋村奉臣さんが行っている個展で、この展覧会は国立西洋美術館の開館50周年事業の一環に位置づけられている。個展のテーマはローマ…

差別化

二番煎じのような企画ばかり持ってくる者がいると、彼は差別化ということに対してどう考えているんだろうと不安になる。差別という言葉はよろしくないと差異化という訳語を好む人も多いが、御存知のとおり、もともとdifferenciationという英語に訳語をどう当…

セイジ

先週末の日曜日、新宿の中古CD屋に入ったら、モーツァルトの交響曲第40番の終楽章が鳴っていた。とてもいい。均整がとれていて、ケアが行き届いた筋肉がきびきびと動くのを見るような演奏。録音がいいから最近の演奏に違いない。誰の演奏だろうとカウンター…