2011-01-01から1年間の記事一覧
秋口にNHKのBS放送で「シリーズ釣って、食べて、生きた! 作家開高健の世界」と銘打たれたノンフィクション番組をやっていた。開高健の釣行に同行した人々を取材し、当時の映像を織り込みながらかつての大兄を振り返るという趣旨の番組だった。この冒頭で、…
新聞広告で発売を知って、次の日には読み始めた小澤征爾・村上春樹著『小澤征爾さんと、音楽について話をする』は、久しぶりに、読み終わるのがもったいないという気分に包まれながらの読書となった本だった。その本の6つのパートにわかれたうちの第2章にあ…
スポーツチームのファンなんて、自分は一銭の徳にもならないのに、膨大な時間を消費してテレビ画面にかじりつき、一喜一憂。我ながらおめでたいもんです。家族には「勝てばニコニコ、負ければ不機嫌」と嘲笑されても決してめげず、郷里のチームのためには食…
昨年、今年の始めと続けてブルックナーを聴いて感銘を受けた東京交響楽団が、ロリン・マゼールを招いて行った創立65周年の記念演奏会を聴いてきた。曲目はベートーヴェンとマーラーの、それぞれ交響曲第1番という珍しい取合せ。フランチャイズにしているミ…
tsuyokさんは「ベートーヴェンに完敗」と書いているけれど、当日、パートごとにもらっていた拍手が一番大きかったのはホルンとティンパニじゃなかったかと思う。「完敗」とか「1%もわからない」などというフレーズが飛び出してきたのは、当日びっくりこいた…
tsuyokさん(id:tsuyok)がティンパニーを叩く運命を聴きに、みなとみらいホールの横浜フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会へ行く。このコンサート、本来はミューザ川崎で開催されるはずだったのが、3月の地震でホールの天井が崩落する事故が起き、急遽会場が…
昨晩の11時過ぎに三上さん(id:elmikamino)からメールを頂戴し、文面を見た途端に愕然となった。そんな馬鹿なと心のなかでつぶやき返信を打つと、三上さんからほどなくメールが帰ってきた。9月11日のことで、間違いない事実であるらしいとのこと。三上さんも…
『モーツァルトの脳』は音楽を司る脳の機能に関する概論にとどまり、天才論にまで歩を進める本ではない。でも、モーツァルトという固有名詞に耳がそばだつ者が期待するのは、やはり大作曲家の創造の謎に対する接近。何が彼を余人をもって代えがたい存在にし…
東京は丸の内、午後7時30分の丸善本店。一階のビジネス書コーナーを入っていくと……。あった、あった。勢川さんの『サラリーマンに効くクスリ!』。 なかなか書店に行けなかったので、アマゾンで買おうかとも思ったが、やはりこの本はどうしても書店の棚に並…
『モーツァルトの脳』はモーツァルトに関するいくつもの逸話を使い、それらを素材に音楽を司る脳の機能を分析するのだが、本書は大方が期待するようにモーツァルトの天才には肉薄しない。あるいは予想とはかなり異なる方法でモーツァルトの天才に近づくと言…
丸善本店の3階、エスカレーターに導かれて登りついたフロアの右手に店舗お勧めの人文系書籍が並ぶ棚がある。そこに並べられている書籍を確かめるのは、この本屋さんを訪れる楽しみ。とくにここしばらくは、その棚の右手隅に音楽関係の書籍がいくつも並べられ…
伊良部秀輝が死んだ。僕が家族とともにニューヨークで過ごした時期は、伊良部がニューヨーク・ヤンキースの先発ピッチャーとして毀誉褒貶の選手生活を過ごした時期とほとんど重なっている。一介のファンながら、同じ異国の地でプレーする同郷選手を特別の思…
id:mmpoloさんに教えていただいた細川布久子さんの『わたしの開高健』を読んだ。5月末に集英社より刊行された本である。著者の細川布久子さんは、大学卒業後に働き始めた雑誌『面白半分』で開高健の担当となり、80年代半ばに渡仏するまでのおよそ10年間、仕…
来たときには、勤め人としてはここが最後になってもおかしくないと思っていたのに、三年半の時間を経て、また元のIT会社に戻ることになった。場所「い」から場所「ろ」に移った人間が、ふたたび場所「い」に行くのだから、「戻る」なのだが、仕事の内容はま…
ちょっとご報告させて頂きます。勤め先で作った本が第12回読売・吉野作造賞を受賞しました。上山隆大著『アカデミック・キャピタリズムを超えて―アメリカの大学と科学研究の現在』です。http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011061000088 読売・吉野作造賞…
銀行に借金棒引きを強要するんだったら、テレビや新聞に向こう数年、被災者関連の報道を義務付けるという方が社会主義国ニッポンとしては気が効いているような気がするんですが、どうでしょう。どうも、自分自身の関心がニュースで扱われる時間の多寡に如実…
地震の際に利己的な行動に走ることなく整然と行動した日本人に対し、世界のあちこちで驚きと賛嘆の声が湧き上がったという話を震災直後にしばしば聞きました。私自身、ニューヨーク・タイムズやCNNのコラムや記事でそうした論調を直接に読みましたし、政…
『記憶する住宅』のプロデューサーとして知られる美崎薫さんは大切なブログの仲間であり友人ですが、ありとあらゆる体験を記録し、自分自身のためだけに作ったアプリケーションの力を借りて日常的にフィードバックしながら生きるこの独自の個性が、自身は“過…
地震が起こってからというもの、実にさまざまな言葉に出会います。言葉はときにプラグマティックに生活を律し、あるいは理知的に考える時間へといざない、あるいは強い力で感情を揺さぶります。そんな言葉の力にいまさらながらに感じ入るのが地震からのちの…
計画停電の話をニュースで聞いたときに思い浮かべたのは、「いまは神奈川、その後東京、それから埼玉」という風に大きく地域を区切って停電をやるのかなという図でした。ところが、実際にはひとつの地域の中をモザイク模様のように5つに分けて3時間毎の停電…
地震の日は震源から遠く離れた東京のオフィスにいた身であったにもかかわらず、東京で出会う地震としてはこれまでほとんど記憶にない揺れを体験し心底驚きました。1時間後に予定されていた会合に出席するために山手線に乗って出かけようと、必要な書類をプリ…
11月の声を聞いてすぐにiPadを購入し、我が家のウェブ・ブラウジング・マシンとして使い始めたのですが、これはなかなかに便利です。思いあまって、新しいMac Book Airもいいかもしれないと思い調査をしたのですが、気が変わって今度はいわゆるひとつのネッ…
昨晩はサントリーホールにクラウス・ペーター・フロール指揮東京交響楽団によるブルックナー交響曲第5番を聴きに行きました。これが12月に同じ楽団で聴いたブルックナー交響曲第8番に負けずとも劣らぬ緊張感にあふれた演奏で、東京交響楽団の実力の高さを目…
年が明けて、まだ一度しかブログを書いていませんが、ブログ仲間の皆さんのエントリーは読んでいますし、自分としては今までと同じようにブログの周りにいるつもりです。とは言え、月に一度しか書いていないのも事実ですから、「あいつもついに離脱したか」…
連休のなか日の9日、北鎌倉駅から短いハイキングコースを歩いて長谷寺に遊びました。おみくじを引いたら、新年早々の「凶」でした。ネットで情報を拾ってみると、「凶」の比率はところによってかなり違うようです。場所によっては、3割が「凶」というところ…