隣のいい人がたいがい仕事人間だったりする

梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく』に関するブックマークかはてなスターがご縁で知り合った『われ思う、故に…』のtsuyokさんは、アマチュア・オーケストラで打楽器をおやりになっていたり、コンサートスクウェアというクラシック音楽のコンサート告知サイトを運営したり、となかなか多彩な活動をしながら大企業でエンジニアとしてご活躍の方だ。『ウェブ時代をゆく』の書評が縁の始まりだが、趣味の音楽の話や勤め人としての感慨など、読んでいて気持ちの良い率直な感想に頷いてしまうことが多い。

昨日のエントリーでは、残業が当たり前の職場の中で夕刻6時半に会社を出るのがたいへんという話題をとりあげていらっしゃる。今日18日の新日フィルのコンサートが7時15分から東京の錦糸町にあるすみだトリフォニーホールで開催される。そこにいくためには1時間前に退社しなければならないが、皆が昼間のように仕事をしているオフィスをひとり抜け出るのは勇気がいるという話。日本のサラリーマンとしては共感するところ大なるものがある。

tsuyokさん自身がエントリーの中で言ってらっしゃるとおり、僕も仕事は効率的にやって早く終わるのが理想だと考えるので、日本の「よい仕事をする人はたくさん仕事をする人で、たくさん仕事をする人とはオフィスに長くいる人だ」という風潮はちょっと、いやかなり、変だと思っている。もちろん「好きを貫く」仕事をしている人たちの中には三度の飯より仕事が好きという人がたくさんいて、ものすごい仕事をものすごい量こなしている人たちがいるが、それは義務でやっているわけでも、ましてや誰かにやらされているわけでもない。職場が変わって慣れていないことが多いために、なかなか仕事が終わらない今週の僕のような仕事の仕方は、ダメ男の見本なのであって、作業の効率はどんどん上げていかなければいけない。そうじゃないとブログもできなくなるし、音楽を聴く時間も、読書の時間もなくなってしまう。それでは生きている楽しみが半分以上なくなってしまうじゃないか。

というわけで、この十年来、最初に職場を出るようにしたいと思いながら、なかなかその理想に達していないのが残念ではあるが、「作業は効率的に」という目標は懸命に追求しているつもりである。

それで文句をいう上司がいたら、正論を掲げて戦う。「こいつは正論を掲げて反論をする変わり者だ」という表情がちらと上司の顔に見えたら、僕のやっていることは正解である。周囲のやつらが「あの人はちょっと変わっている」と陰口を叩いているような雰囲気が感じられたら心の中でほくそ笑むべきである。「みな同じが正しい」という規範と戦わないといけないのは日本の国に住まうやっかいさの最たるものだが(一緒に仕事をしている、とてもいい人たちがたいていそうなので、そこがやっかいなのだが)、それはある種の差別の温床でもあるわけで、そこで負けていたら仕事の場だって趣味に関してだって「好きを貫く」なんてできないんじゃないかと思う。

僕も今晩はtsuyokさんの打楽器の先生が出演する件のコンサートに行くのだが、同じコンサートのチケットを買っていたのはまったくの偶然です。


■ようやく週末(『われ思う、故に…』(2008年1月17日)