不愉快な悪夢

昨朝、起きがけに見た夢は、見ている間中、不愉快な気分が蓄積し続けるようで、何故私の脳はそんなイメージを作り出すのか、自分自身に尋ねてみたくなった。 とは言え、夢としては、それほど奇怪でも、奇抜でもない。むしろ、書割はその正反対で、実にちまち…

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』の不条理

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』は、大手から弱小レーベルまでさまざまクラシックレーベルを巻き込んで、インターネットにおけるクラシック音楽の録音媒体販売のプラットフォームになりそうな勢いだが、これはつまり、レコード・CD産業は死んだと…

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』のどこがすごいか

クラシック音楽のストリーミングサービス、『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』がいいと書いたが、もちろん「pro」の部分ばかりでなく「con」もある。 機能的に不足しているのは『ギャップレス再生」に対応していない点で、トラックごとに間合いが入っ…

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』を利用し始めた

『ナクソス・ミュージック・ライブラリー』というサービスがあることは以前から知ってはいたが、数年前に少し覗いてみた時にはそれほど魅力のある商品だとは思わなかった。ところが、年明けにクラシックに詳しい知人に最近の状況を教えてもらい、久々にその…

アーノンクールが亡くなった

指揮者のニコラス・アーノンクールが86歳で亡くなった。古楽復活のパイオニア的存在で、この人がいなかったら、クラシック音楽演奏の歴史は違う進み行きになったのは間違いないほどの、決定的な影響力をその世界に与えた人物だった。好きか嫌いかはさておき…

クリストフ・ヴォルフ著『モーツァルト 最後の四年間―栄光への門出』

「ヴォルフガング・アマデーウス・モーツァルトの創作人生の最後の四年間を、早すぎる死という破局に固定化させることなく扱うことはできないだろうか。」という一文で始まる『モーツァルト 最後の四年間―栄光への門出』は、著名なバッハの研究家であるクリ…

自己愛の発露としてのブログにならないように

ということを考えると、まあ回数稼ぐ必要もなし、ということで最近あまり書いていないのですが、ブログを見捨てているわけでは全然ありません。未だに、ますます頼もしい味方かなと思っています。

ヴァンスカと読響のシベリウス

オスモ・ヴァンスカと読響がシベリウスの交響曲第5番、6番、7番をやるというので聴きに行った(12月5日、サントリーホール)。 ヴァンスカとラハティ交響楽団のシベリウスは5番をCDで所有していて、けっこうイケてると思っていたので、早めにチケットも確保…

はっぴー・はろうぃーん

ハロウィーンの話でブログを書いたのはいつのことだったか。そう思って検索をかけてみたら、2006年の秋だった。もう9年も前のことになる。■Happy Halloween!(2006年11月22日)9年経ったら、というか、このトレンドは3、4年前には顕著になってきたようだが、…

ラグビー・ワールドカップはまだ佳境なはずなのだけれど

昨晩、今年の日本シリーズが福岡ヤフオクドームで開幕した。その始球式に呼ばれたのが、ラグビー日本代表の五郎丸選手。いまや時の人、日本中に名のとどろくスーパースターである。そのオールスターでの始球式のちょうど6時間後、英国の地ではラグビー・ワー…

生よりテレビの方が音楽が音楽らしく聴こえた話

二つ前のエントリーでブロムシュテット指揮のN響の演奏会のことをさらっと書いた。週末の土曜日に、当のコンサートの模様がNHKで放送されたので録画し、それを先ほど聴いたのだが、いやいや、これはいいコンサートではないか。でも、先日書いたとおりで、NHK…

パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団のマーラー『復活』

パーヴォ・ヤルヴィのN響首席指揮者就任記念演奏会を聴いた(10月3日、NHKホール)。曲目はマーラーの交響曲第2番『復活』。ヤルヴィというと、親父さんを思い出す口で、パーヴォさんを聴くのはわずか2回目。N響で春にシベリウスのバイオリン協奏曲とショス…

ブロムシュテット指揮NHK交響楽団のベートーヴェン

NHKホール、天井桟敷の自由席、E席でブロムシュテット指揮N響のベートーヴェン交響曲第2番と皇帝コンチェルトの2曲を聴いた(9月26日)。今年もブロムシュテットさんは衰えが見えず、オーケストラを駆り立てて音楽を推進させる技は健在。きびきびとしたアッ…

日本代表を寿ぐ英国やラグビーネイションの一般市民の投稿記事について

今までテレビ観戦したラグビー日本代表の試合でもっとも印象に残っているのは、80年代に松尾や新日鉄釜石が全盛期だったころの、かの地で戦ったウェールズ戦。ラグビー一流国に善戦した試合だったが、今回の日本代表の南アフリカ戦は、その記憶を一掃するほ…

ノット指揮東京交響楽団のマーラー交響曲第3番

ジョナサン・ノットと東京交響楽団でマーラーの交響曲第3番を聴いた(9月13日・ミューザ川崎)。 10代から20代にかけては、世がマーラーブームであったことも手伝って、あらゆる作曲家の中でもっともひいきにして熱心にマーラーを聴いていたものだった。しか…

オクターブが聞こえない

オクターブが分からない。聞き分けられない。自分自身にびっくりしてしまった。 同じ音でしょ、なんでわからんの?と言われてしまった。 いやはや、そのとおり。同じ音ですよね。 お前に言われたかないよ、とは思ったが、思わず、そう、同じ音ですよね、と答…

ノット指揮東京交響楽団のストラビンスキー、バルトーク、ベートーヴェン

一昨日はジョナサン・ノット指揮の東京交響楽団で、ストラビンスキーの『管楽器のための交響曲』、ラーンキをソリストに迎えてバルトークの『ピアノ協奏曲第1番』、とりにベートーヴェンの『運命』というプログラムを聴いてきた(7月16日・サントリーホール…

ワールドカップで仲間を擁護する英国選手は女性語を話すか?

昨日の女子サッカーワールドカップ・カナダ大会で日本チームはイングランドと準決勝を争い、終了間際に相手選手のオウンゴールで勝利を収めた。ウェブにはこの試合に関する多くのニュースが溢れている。 ■OGのバセットをかばうFWダガン「彼女はすべての選手…

デニス・マツーエフはすごかった

先週、テミルカーノフの指揮する読響を聴いた。テミルカーノフがショスタコーヴィチの交響曲第10番を振るので聴きに行こうと考えて買ったチケットで、ショスタコーヴィチの前に置かれた一曲目がプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番というのは知っていた。賑や…

ノット指揮東京交響楽団のブルックナー交響曲第7番

生前、評価を得るのに四苦八苦したブルックナーにとって、交響曲第7番は『テ・デウム』とともにもっとも成功をみた自慢の曲だが、私はあまり得意ではない。おそらく彼の10曲の交響曲(習作のヘ短調交響曲を含めると11曲)の中で、個人的にはもっとも聴く回数…

『ゴジラ』の荒唐無稽さと現代性

東京の街にゴジラの模型が登場して、東宝の新作の前景気をあおっているようだが、はたしてオリジナルの『ゴジラ』以降、続編はものの見事に成功をみていない。 子供の頃に見た『モスラ対ゴジラ』だとか『南海の大決闘』だとか、その種の映画は小学生になりた…

『第三の男』と『ゴジラ』

この前のエントリーで“『第三の男』のリマスター版”という表現を書いたのだが、それを眺めながら、英語の記事では“restored 4k version”とあるが、これに、果たして生半可な知識で“リマスター版”という日本語をあててよいのか、やっぱりマスターを直したとは…

観覧車

ネットサーフィンをしていたら、『第三の男』のリマスター4K版がカンヌ映画祭で上映され、この夏にアメリカで商業上映が行われるというニュースにぶつかった。次の瞬間、思いは再度3月のウィーン旅行に向かうことになった。http://variety.com/2015/film/n…

ブルックナーの風景(14): ブルックナーなんて誰も(とは言わないが)興味ない

というわけで、この3月に行ったブルックナーをめぐる旅のエントリーはこれでおしまいです。起承転結のなく、これといったメッセージのない、ただブルックナーという作曲家の存在に寄り添っただけのエントリーで、ブルックナーに興味がない方にはまるで面白み…

ブルックナーの風景(13): 『交響曲のハイキングコース』を通ってブルックナーの生家へ

ザンクト・フローリアンの町では、観光客向けに聖フローリアン修道院を中心として四方にいくつかのハイキングコースが設定されています。午前中の修道院ツアーの後、昼ご飯を食べてから、これらのハイキングコースのうちでもっとも長い『アントン・ブルック…

ブルックナーの風景(12): ブルックナー・オルガン、墓碑、棺

聖フローリアン修道院のゲストハウスにチェックインをし、旅装をほどくと、すぐその足で聖堂に向かいました。聖堂とは、英語のbasilica をここではそう呼んでいるのですが、ほんとうは何と書けばもっとも不都合がないか、しっくりくるのか、キリスト教の知識…

ブルックナーの風景(11): 聖フローリアン修道院の「大理石の間」

聖フローリアン修道院は、春から秋のシーズンには観光客向けにガイドツアーやオルガン・コンサートを開催しているのですが、私が出かけたのは3月でしたから、これといった催し物はなく、そうすると入れる場所、見学ができる施設は限られてしまいます。それは…

ブルックナーの風景(10): 聖フローリアン修道院に泊まる

ザンクト・フローリアンはリンツの街から南南西に18キロ、乗り合いバスで30分ほど下った森と畑が広がるエリアに存在する町です。このザンクト・フローリアン(聖フローリアン)というドイツ語の地名ですが、日本語では聖フロリアヌスという3世紀に実在した人…

謎のAEIOU

前回のエントリーに「AEIOU」について一言だけ触れ、ついでに写真を掲載したところ、西洋史に詳しい近藤さんが目ざとく見つけてコメントを頂きましたので、「AEIOU」とフリードリヒ門について、もう少し付け加えておくことにしました。 15世紀半ば…

ブルックナーの風景(9): リンツから聖フローリアンへ

ブルックナーはリンツで12年を過ごし、二つの教会のオルガニストとして確固たる地位を築きました。さらにジーモン・ゼヒターとオットー・キッツラーから理論を学んで、ヘ短調の習作交響曲と交響曲第1番を作曲し、本格的に交響曲作家への道を歩み始めた重要な…