ブルックナーの風景(13): 『交響曲のハイキングコース』を通ってブルックナーの生家へ

ザンクト・フローリアンの町では、観光客向けに聖フローリアン修道院を中心として四方にいくつかのハイキングコースが設定されています。午前中の修道院ツアーの後、昼ご飯を食べてから、これらのハイキングコースのうちでもっとも長い『アントン・ブルックナー 交響曲のハイキングコース』(Anton Bruckner Symphonie-Wanderweg)を歩いてきました。





のどかな田舎道が9キロ先にあるブルックナーの生まれ故郷、アンスフェルデンまで続いており、ところどころに写真のようなブルックナー交響曲を紹介する案内板がある、とまあそれだけの趣向ですが、子供の頃、ブルックナーはこの道を通って実家と修道院を行き来したのかと思うと、ファンにとっては、それはなかなか楽しいお散歩道です。





こんな風にスポット毎に交響曲を取り上げて、概要、成立についての記述、当時の歴史的背景がマジに記述されています。ここは「交響曲第8番」のスポットです。これを喜ぶハイカーがいったい何人いるのか、実に微妙なところですが。















歩き始めたのが午後に入ってからですし、コースの途中まで歩いて、適当な時間に修道院に戻るつもりだったのですが、思いの外遠くまできちゃったなと思っていたら「アンスフェルデン=4キロ」の標識がある地点まで来てしまいました。もう夕方に近い午後4時20分という時間だったのですが、そこで引き返したら後悔の念が残りそうな気がして、一念発起、ブルックナーの生家まで歩いてきました。





アンスフェルデンの町に入ると、





生家の脇にある教会が見えてきました。








ブルックナーのお父さんはアンスフェルデンで学校の校長先生をやっていた人で、小さな村ではそれなりの名士だったのでしょうか。そのあたりはよく分かりませんが、大きな家です。ここも夏の間は博物館として中を見せてくれるのですが、この時期は閉館中。





教会にはお父さんのお墓があります。教会の敷地では数人の子どもたちが集まって遊びに興じていました。





街灯などない田舎道、日が暮れるまでに出来るだけ宿の近くまで戻りたい。ということで、写真を撮って、すぐに取って返す慌ただしい訪問でした。





来たのと同じ道をせっせと歩いて帰りました。寄り道をしてしまったので、往復でちょうど20キロぐらいの行程。3月の夕暮れは風が身に沁みます。久しぶりに長い距離を歩いたので足がパンパン。




暮れなずむ頃に、ザンクト・フローリアンの町に戻ってきました。ブルックナーのシルエットの看板がお出迎え。








くたくたになって修道院に戻ってきたのは、もう夜の帳が降りる頃でした。