生よりテレビの方が音楽が音楽らしく聴こえた話

二つ前のエントリーでブロムシュテット指揮のN響の演奏会のことをさらっと書いた。週末の土曜日に、当のコンサートの模様がNHKで放送されたので録画し、それを先ほど聴いたのだが、いやいや、これはいいコンサートではないか。でも、先日書いたとおりで、NHKホールの3階席では、まるでそういう風には聴こえなかった。いい演奏だが、あの場所で聴く音楽には、どこかに満足という言葉まで届かないものが残るのだ。

やはり巨大ホールの天井桟敷で聴くオーケストラは音が遠すぎるのである。音響の問題だ。あれを1階の音が近い席で聴けば、おそらく大満足だったのだろうが(というのは、前にも書いた通り、同じコンビの演奏を去年は珍しく1階席で聴いて感激したのだった)、3階E席、というのは、つまり1500円の自由席だが、その音には決定的に欠けているものがある。悲しいかな、我が家の、低温が出ない小さなスピーカーで聴く方がコントラバスがきちんと聴こえ、弦の厚みが出るのだからどうしようもない。
NHKホールで聴くより、うちで聴く方がいい!」などと叫んでしまったのだ。

そりゃ大枚をはたけば確実に満足度は手に入るのだろうが、そこまで財布は温かくない。1500円でそれなりに楽しめる、派手で編成の大きい曲を狙ってコンサートに行くか、コンサートを楽しむ回数を何分の1かに減らして音のよい席で聴くか、それともNHKホールとN響にサヨナラして、別のオーケストラにお金を回すか。みみっちい話だが、限られたリソースをどう使うかを考えるのも楽しみのうちだと強がりを言っておきましょう。