2009-01-01から1年間の記事一覧

神保町、ガラスの街、冬の旅

神保町の三省堂一階の新刊本売り場に、ポール・オースターの『ガラスの街』ハードカバー版が幾段にもなって並んでいた。どうしたのかと帯に眼を這わせると、柴田元幸による新訳版が出たのだった。黒字の表紙のど真ん中に太い帯を入れるような具合に、ダイヤ…

『つながる脳』が毎日出版文化賞を受賞

朝一番でうれしいニュースをお知らせできることになりました。このブログでも取り上げた藤井直敬著『つながる脳』が今年の第63回毎日出版文化賞で自然科学部門を受賞しました。同賞4部門のうち、文学・芸術部門で選ばれた村上春樹さんの『1Q84』と一緒…

モンポウの演奏

昨日のエントリーにYouTubeから貼り付けたモンポウ自身の『歌と踊り』を聴きながら、ビールを飲んでいるところ。いや、ビールを飲みながら、モンポウを聴いているのかな(酔っぱらいモード)。このルバートたまりませんね。音楽の時間が実に自然と伸び縮みし…

モンポウ

ドビュッシーがいなければ、他の様々な作曲家のそれとともにモンポウの音楽もなかったのだなと思う。昨日は、そんなことをふと考えてドビュッシーの名前を出したが、書きたかったのは、フェデリコ・モンポウのこと。その昨日のコメント欄でid:Emmausさんがモ…

ドビュッシーの音楽、分類、資質

音楽を聴くのは好き。でも、かなり偏った嗜好しかもっておらず、いろいろな曲を聴きたいという情熱が足りないので、自分から積極的に接する範囲は限られたまま。フランスものはその最たるもので、名曲を聴けば「よいなあ」とは思うが、繰り返し聴く気になら…

さっきの続きを書こうと思ったが

アサヒビールの発泡酒と700円のチリ産ワインを手酌でやりながら、フジテレビ放映の『ボーン・アルティメイタム』を子供と一緒に鑑賞(という単語がそぐわない映画だが)していたら、とってもそんな状況ではなくなってしまった。今日の宵は気持ちの良い酔い。…

観客席の阿鼻叫喚の中に人生の意味はあるのかもしれない

黒い霧事件以降の西鉄から太平洋クラブ、クラウンライター(それにしても、なんというとほほなマイナー企業!)のライオンズファンだった。5位、6位が毎年の指定席の弱小球団で、たまに4位争いなどしようものなら、優勝争いに加わったような気分で応援に熱が…

東京に出てきた比嘉さんとの再会

久しぶりに比嘉さん(id:Ryu-Higa)と会った。彼とは昨年6月の「千葉シュポシュポ」の際に初めて会ってから数えて4度目の挨拶になる。先日お誘いのメールをもらい、昨日の昼ご飯を目黒で一緒に。大メーカーからIT系ベンチャー企業に転職をし今年の6月に上京し…

「私は誰かとつながりたい」というだけのことなのか

私は子供の頃から、そのとき読み進めているお話の影響を受けやすいやつだった。影響というのは、筋書きや登場人物像に対してではなく、文体のほうの話。「かっこいい」とか思うと、すぐそれを真似して文章を書きたくなる。文章の楽しみというのは、最終的に…

ハルキさんの直感力

昨日の話の続きである。下川さんとの宴は、話がどこからどう流れたのか、もう定かではないのだけれど、村上春樹の話題になった。下川さんは、ハルキさんと実年齢では同じか、ひとつ違いかという関係で、学校も同じ。デビュー前の彼が都心で商っていた飲食店…

読み書き能力の話

久しぶりに下川さん(id:Emmaus)とお会いし、学芸大学駅近くのほの暗い通りで、そばを食べながら歓談のときを過ごした。静かで落ち着いた店のなかで行き交ったいくつもの話題の中から、私たちにとって重要なのは読み書き能力ではないかという下川さんからの問…

山岸俊男・吉開範章著『ネット評判社会』

日本は、共同体の掟で守られることによって個人の安全を確保しようとする「安心社会」、西洋は個人同士のつながりを積み重ねて自らの安全を構築しようとする「信頼社会」。「他人を信頼するか」というアンケートをとると、日本とアメリカとでは、答えに決定…

わいわい2周年の春樹談義

金城さんが主宰するわいわいがめでたく2周年を迎えたので、お祝いに出かける。開始時間を過ぎていたのに、珍しく主宰者がまだ会場には到着しておらず、せるげいさん(id:sergejO)と某国大使館員のSさんとの雑談にまっすぐ突入。ビールを注文する間もあらばこ…

仕事に関するよもやまばなし

G社が来年から本の電子販売を始めると宣言した。この話は、もう一年近く前に関係筋から内々に聞いていたので、意識の中では織り込み済みだが、うんざりという気分にはなる。G社様には今年たっぷりと振り回されたばかりだ。 米国で同社の「ブック検索」絡みの…

その日見た夢

緩く続くまっすぐな坂を下っていくと、いつか見た光景が広がっていた。あぁ、そういうことだったのかと納得する自分。先日、見た夢の残滓である。何が“そういうことだったのか”、何に納得をしたのか、夢の詳細はまるで覚えていないのだけれど、たぶん、実質…

Kindle発売でぼんやりと思うこと

Kindleが日本を含む米国以外の各国でも発売と相成った。当面(その当面がどれぐらいの長さになるかは誰にも分からない)は、日本の出版産業がアマゾン、その他の流通業者やハードメーカーに協力して電子出版に雪崩を打つ、ということにはなっていないので、…

漆は切ない

ブログ中毒はなかなか治らない。しばらく書かないと体の中に毒素がたまってしまうような気分になり、それらを人の目につくところに吐き出したくなる。たまるのは字毒だろうか。おそらく。そんなものを読まされる方はたまったものではないかもしれないが、し…

私は編集者ではない

あるブログで「自身が編集者であるtaknakayamaさんという人がこんなことを書いている」といった類の紹介をして頂いていた。僕のエントリーは編集の仕事にエールを送る内容だったので、つまり一人の編集者が編集という仕事を自ら養護していると読まれたのだっ…

シベリウスの第5交響曲のことなど

しばらく仕事や私用で少し忙しくしていまして、ブログを含めて文章を書く時間がありません。まるで時間がないというわけではないのですが、こういうのは気分の問題で、アニマル浜口じゃないが気合いがないとブログだって書けないというわけです。気合いを入…

あらためてブログの力に感じ入った夜

昨晩の「ただの飲み会@目黒」には、id:tsuyokさん、id:segawabikiさん、id:kaiowadaさん、id:phoさん、id:koichiro516さん、それに私の6人が集合。参加のご意向を頂いていたid:simpleAさん、id:kany1120さん、id:Wakiさんのお三方は残念ながら一緒に乾杯で…

本日、「ただの飲み会@目黒」開催です

表記の通りの会です。 これまで出席のご意向を頂戴したのは、id:koichiro516さん、id:kaiowadaさん、id:simpleAさん、id:segawabikiさん、私宛にメールを頂戴したXさんの5名様ですが、すでにお伝えしたとおり、予約もなにもない集まりですから、ご用とお急ぎ…

「本=編集」と「ブログ=非編集」の距離

三上さんがたいへん興味深い問題提起をしてくれました。以下に引用します。 出版ビジネスに関わる人たちの側から、本とウェブを区別した水準で、ウェブを手段にして、本を売るのが目的というありふれた構図、手法ではなく、本を本のままに、しかもブログに面…

突然ですが、ただの飲み会@目黒

「シュンポシオン横浜」を延期にしちゃったので、げんなおしに飲み会をやろうか、などと突然思いつきました。9月2日、今度の水曜日です。場所は金ちゃん(id:simpleA)の縄張りの一つ、目黒の「BLACK LION」。 http://www.blacklion.jp/j.html 大通りからちら…

「シュンポシオン横浜」延期のお知らせ

今年の11月に開催を予定していましたブログ仲間の歓談の集まり「シュンポシオン横浜2009」ですが、私の見込み違いでうまく会場が確保できず、この時期の開催を見送ることにしました。参加をご予定いただいていた皆さんにはたいへん申し訳ないのですが、どう…

最近、ブログが書きにくい

三上さん(id:elmikamino)のブログでコメントのやりとりをしている最中に、後先のちゃんとした説明をまるで省いて、 今のようなお手軽息抜きブログはよくないなと思い、とりあえず一年ぐらい休んでみようかとしばらく前から考えています。 どうも、ブログに書…

Matsui!

「ヤンキースの選手としては今年で終わり」と、もう決まったかのように言われていた松井秀喜だが、今年最後となるフェンウェイ・パークでのボストン戦で、2度の1試合2ホームランを記録したことで一挙に周囲の見る目が変わってきた。これはニューヨークのタブ…

本は編集者が作る

第1回ARGフォーラム「この先にある本のかたち:我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」の様子を報道やブログで拝見した。 ■『CNET Japan』8月21日■『かたつむりは電子図書館の夢を見るか』2009年8月18日 このフォーラムの後半で、ジャーナリストの津田大…

11月21日の線は消滅

今年の11月に開催をもくろんでいる2回目の「シュンポシオン横浜」。昨日、予備日として設定した11月21日の2会場を押さえようと、一緒に事務方を買って出てくださった皆さんと電話と会場抽選・予約の組に分かれて仕事にかかったのですが、なんと両方ともには…

明後日は会場予約

明後日は、「シュンポシオン横浜2009」の予備日用会場確保の日。第一候補日の11月28日(土)に会を開催できる会場が見つからない場合に備えて、次点候補日の11月21日(土)のために予約を入れようという魂胆です。今年使う予定の会場候補は2カ所あるのですが…

岡田暁生著『音楽の聴き方』

京都大学の先生で音楽評論家である岡田暁生さんによる中公新書の一冊である。 セール用に巻かれた本書の派手な黄色の帯には「「お好きなように」と言われてもお困りのあなたに」と明朝体で大書されている。しかし、読んでみると、実際にこの本が読者として選…