『つながる脳』が毎日出版文化賞を受賞

朝一番でうれしいニュースをお知らせできることになりました。このブログでも取り上げた藤井直敬著『つながる脳』が今年の第63回毎日出版文化賞で自然科学部門を受賞しました。同賞4部門のうち、文学・芸術部門で選ばれた村上春樹さんの『1Q84』と一緒の受賞です。


http://mainichi.jp/enta/book/news/20091103k0000m040133000c.html


大手出版社、老舗、古参の出版社とは異なり、私の勤め先のような弱小企業で、毎日出版文化賞のような大きな賞をもらうのは、普通の公立高校が高校野球で甲子園出場を勝ち取るぐらいの快挙です。担当編集者のMさんの顔を何度も思い浮かべました。

読者としての私にとっては、社会性と脳という我々素人には取っつきやすいとはいえない研究テーマから、私たちの日常生活や社会にとって切実な、「上下関係」に関するコメントを導き出してくる部分が実に新鮮でした。社会は力が弱い者の「抑制」という行為によって、実は力関係が下位の者が実質的にコントロールする部分がかなりある。そして下位の者は、上との力関係をきちっと測りながら、実質的な成果を獲得しているという指摘。私はそこに、上が下を支配するという権力の構造をひっくり返す、リベラルな社会観に直結する何かがあるのではないかと興奮させられました。

受賞で、本書を手に取る読者が増えるのは、ですからいくつもの意味でとてもうれしいのです。


■藤井直敬著『つながる脳』(2009年5月23日)


つながる脳

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