社会

がんばること

昭和30年代半ばに生まれた私が子供の頃は、私たちの親の世代、年長の世代がそうであったように、当然のように競争のなかに投げ込まれ、がんばって上を目指すことをよしとし、そのように生きてきました。それはがんばって、自分の能力を十分に発揮すれば、そ…

事業仕分け雑感

この一週間、事業仕分けなるものの映像がニュースのたびに流れていたが、あれはその趣旨は別にして、見ていて気持ちのいいものではなかった。会社員をやっていれば、ほとんどの者が知っていることだと思うが、正しくない部分を指摘するのは新しい何かを提示…

ブログを書いているだけでも個人と社会の関わりは容易ではないなと思う

実名で会社員生活を生きる。実名でブログを書く。実名でその他諸々を活動する。ということになれば、ブログに関して言うと、滅多なことは書かなくなる。ワタクシのブログはだからつまんないとは自分自身思うけれど、無責任な物言いはしなくなるということも…

沈黙の主張

歌手・女優として芸能界でそこそこ名をはせた女性が介護に疲れて命を絶った。そのことを受けて、介護の負担をテーマにしたテレビニュースの特集を複数の局が放映するのをたまたま目にした。人が死なないとものごとが動かない、ことの重要さが認識されない傾…

二つの田舎

勢川さん(id:segawabiki)、三上さん(id:elmikamino)、中村さん(id:koichiro516)、昨日のエントリーへのコメント誠にありがとうございました。皆さんのコメントを眺めているうちに、二通りの田舎は混同を許すままに「田舎」と言い続けた方が面白いという個人…

アジアの田舎になっていく

昨日は息子の高校野球の応援をしに平塚まで往復50キロ、サイクリングをしてきました。疲れがたまっていたのでしょう、30度の暑さの中自転車を漕ぎ、2時間半、バックネット裏の炎天下で陽にじりじりと炙られたらそれだけでばててしまい、帰り道が辛かった。ツ…

安全の話

僕が子供の頃にイザヤ・ベンダサンが「日本人は安全と水はただだと思っている」と書きました。自宅から歩いて10分の公園に死体が遺棄されるという現実に直面して、僕は大いにショックを受けているのですが、それが地方紙の埋め草記事程度にしかならない、誰…

山椒魚

井伏鱒二の『山椒魚』は国語の授業で取り上げられるので、ほとんどの人が一度は読んだことがあるのではないかと思う。谷川の縁に穿たれた岩屋のなかでのんびりとしていたら、体が大きくなってそこから出られなくなってしまった山椒魚。 「あぁ、寒いほど独り…

島は小さな日本か、中小企業か

ゴールデンウイーク中に訪れた初島で、地元出身のガイドさんは「初島には悪い人はいません」と言った。江戸時代から41世帯という世帯数をまったく変えることなく、社会構造の基本を守り通すと「悪い人はいません」と自信をもって言い切ることができる社会が…

自分は自分ということ

しばしばトラックバックをしてくださる『koichiro516の日記』の中村孝一郎さんについては、「光技術の専門家らしいな」ぐらいの認識しかなく、多くの若者のロールモデルになると梅田望夫さんが一押しするような、その分野で誰もが認める飛び抜けた人物だとい…

足るを知る

江藤淳のエッセイを読んでいたのは血気盛んな高校生の頃だからずいぶん昔の話だが、その頃に出会った一文に『足るを知る』というのがあった。ごく短いエッセイだ。「足るを知る」というのは『老子』に出てくる言葉だそうで、「足るを知る者は富めり」という…

無責任

凶悪犯罪、家庭内暴力、校内暴力、いじめ、過労死、自殺、経済の二極化、失業増加、薬害訴訟問題、エトセトラ、エトセトラ。我々の日常を取り巻く社会環境は厳しさを増し、数々の社会問題で疲弊する人々の数はふえこそすれ、減る方向にはないと思われる。そ…

携帯小説の隆盛とわたくし

数日前観たNHKのニュース番組で携帯小説がテーマになっていた。携帯小説だか、ケータイ小説だかいうものがすごい勢いで読まれていて、それらのうちよいものは講談社など大手の出版社が単行本にして百万を超えるヒットをしているというではないか。この番組を…

原発事故が引き起こす普遍的関心

essaさんのエントリーで、海外のメディアが一斉に柏崎原発に注目している様子を教えてもらった。■海外メディアは柏崎原発に注目している(2004年7月19日) さすがにessaさんの目のいきどころは違うなと感心しつつ、同時に少し以前の原発事故を思い出し、さも…

NRIによると学歴肯定派が増えているらしい

昨日、都内で開かれたビジネス系のイベントで野村総合研究所の藤沼社長の講演を聞いた。その前半で同社が継続的に実施している「生活者1万人アンケート調査」の結果が報告され、その内容が面白かった。藤沼さんの話の落としどころは消費の二極化が進行してい…

写真が伝えるイメージの直接性

大江健三郎さんの『ピンチランナー調書』はよい作品なのに、残念なことに学生運動のセクト対立を素材に取り込んだ故に後世の読者にとって難解な作品になってしまっている。左翼的思想の是非は脇に置いておくとして、それがあの時代にどういうものであったの…

『ワーキングプア』を読む

書店で大量に平積みされていた門倉貴史『ワーキングプア』を買い求める。一読し、事態はそこまで逼迫していたのかとあらためて驚いた。経済格差の広がっている感覚について吉本隆明さんの著作を引いて印象を書いたばかりだが、マクロ経済に疎い者としては、…

アジアの田舎となって気楽に暮らす

このタイトルは週刊東洋経済2006年12月30日+1月6日合併号の「ニッポンはどこへ行く?」と題したインタビュー記事に掲載されている堺屋太一さんの言葉です。同誌から引用します。 戦後の日本には国家コンセプトが二つありました。第一は「日米同盟を基軸に経…

牧羊犬は頭を垂れる

このところ、『三上のブログ』では札幌大学の三上先生が繰り返しグーグルやWebの危険性について読者の注意を喚起していらっしゃる。■21世紀の思想を語るなら(『三上のブログ』2006年9月8日) ■アウラとクオリア(『三上のブログ』2006年9月9日) ■ウェブ進…