事業仕分け雑感

この一週間、事業仕分けなるものの映像がニュースのたびに流れていたが、あれはその趣旨は別にして、見ていて気持ちのいいものではなかった。会社員をやっていれば、ほとんどの者が知っていることだと思うが、正しくない部分を指摘するのは新しい何かを提示することに比べれば実にたやすい。日本の一流企業や役所に勤めている人たちは、受験勉強の時代から論理的に思考をすることはしこたまやっているから、間違い探しはお手の物だ。そこに権力を持つ者の傲慢さが加わると、テレビニュースのような案配となる。あれを「今までいばりくさりやがって、ひひひ、役人どもざまーみろ」と見るかどうかは、あなたやわたし次第。私も昔、中央官庁や特殊法人とかかわる仕事を少しはし、そこで嫌な思いをしたのは一度ではない。でも、目には目を、勝てば官軍鼻高々の精神は最低だ。

阿呆な施策をやめて税金の無駄遣いをなくすのは大賛成、そのための調整大賛成。でも、施策の善し悪しって、やり方がおかしいから修正しようという話ならば、これは簡単だが、おそらく多くの案件が理念や方針に遡って議論を行う必要があるはずで、もちろんそれは1時間足らずで出来るはずがないと素人だって思う。というか、上が決めるべきことが、あの中にはたくさん混じってるよなと思う。

日本科学未来館館長を務めている毛利衛さんが、「ちゃんと理念の是非を議論してもらいたい。赤字を減らす努力をして、実績を残しているし、赤字が悪いというのであれば、小中高の公立学校は赤字だからできないということになってしまう。それはおかしい」というような反論をしている場面を見たが、私にはとても格好良く見えた。事業仕分けが悪いと言っているのではない。施策として、とても画期的だとは思う。ただ、見せ物としては後味わるすぎだし、衆愚政治という言葉が思い浮かぶのはいかんともしがたい。悪代官を懲らしめる黄門様って、ほんとうによい顔をしていないと鑑賞者は納得しないものなのだなと、あれを見ながら思ったのだった。