アート

土門拳、写真批評、丸谷才一の吉田秀和評

このところ中年の手習いで写真集をちょっとずつ見ている。きっかけはこの秋入れあげた橋村奉臣さんの展覧会である。写真の面白さを少し分かったと言ったらこれはこれで言い過ぎで、橋村さんの写真には写真の技法的な可能性をぎりぎりのところまで追いつめな…

「谷口ナツコ展」に行く

『mmpoloの日記』で絶賛されていた谷口ナツコさんの絵を帰宅途中に見てきた。年間延べ2000軒の画廊を回るというmmpoloさんが「天才画家」と称える人。へらへらした文章を書かないmmpoloさんが「真に独創的で才能のある画家が現れた!」と「!」付きで賞賛す…

僥倖

週末、ある写真家の、未発表の、そしてまだ未完成の作品を作者の好意で見せてもらうことができた。そこに表現されてあるフォルムに心が震えた。写っている光景は誰もが日常的に目にしている東京の一日なのだった。写真家の目は、我々が網膜に映す平凡なフォ…

『大竹伸朗 全景 1955-2006』

大竹伸朗さんの画業を展観する『大竹伸朗 全景 1955-2006』(東京都現代美術館)を鑑賞した。11月の始めのことだから、もうひと月も前になるのだけれど、今日はその印象をご紹介したい。 会場の東京都現代美術館は新しくて、展示空間にも余裕があり、見やす…

山本弘展パンフレット

昨日お会いしたmmpoloさん(id:mmpolo)に「山本弘展」(2004年2月 兜屋画廊)のパンフレットを頂く。たいへん貴重な資料である。1981年享年51歳で自らの命を絶った山本弘氏の40代前半の写真とともに、その作品五点のカラー図版が掲載されている。山本弘氏に…

橋村奉臣さんの写真を

橋村奉臣さんの写真を一枚一枚と取り上げて、そこから沸き上がる感想を書けたらどんなに楽しいだろう。誰も読まないかもしれないけれど。

「HASHIGRAPHY」とは何か

正直言って「HASHIGRAHY」は晦渋である。もし、『HASHI[橋村奉臣]展』が「HASHIGRAPHY」だけで構成されていたら世間の展覧会に対する受け取り方はどうだったかと考えてみる。地味で内向的な作家・橋村奉臣がこれほどの話題を獲得するのはやはり難しかっただ…

技術とオリジナリティ

梅田望夫さんの『ウェブ進化論』は多様な読み方、啓発のされ方を誘う本だが、最初に読んだときに単独のトピックとしてもっとも印象に残ったのは、グーグルの社内ではアイデアは二束三文で、それ自体は価値がないという共通認識があるという記述だった。グー…

純粋な単純さ

一昨日に続いてHASHIこと写真家・橋村奉臣さんについて話をしたい。実際に彼の写真を見たことがない方に向かって、どうしてそんなに一人の写真家にこだわるのかを説明するのは簡単そうで難しい。逆に『HASHI[橋村奉臣]展』に足を運んだ方なら、こだわりの理…

HASHIさんにお会いする

9月前半に休みを取って実家に帰ったときに、久しぶりに青木繁や坂本繁二郎、小出楢重など洋画の初期に活躍した画家たちの絵を見る機会があった。青木繁の天才は今我々が見ても明らかだが、その短命とともに我が国における西洋絵画の先駆者の立場を担うことを…

橋村奉臣作品の機知

一昨日、橋村奉臣さんの写真展にいった話をちょっと書いたら、『三上のブログ』で三上先生がとりあげてくれ、僕が見て感銘を受けたドキュメンタリー映画『島ノ唄』での吉増剛増さんの言葉につないでいただいたうえに、橋村さんの写真の意味をも綺麗に読み解…

写真展をはしごする

末の子供の陸上競技を見物した後、ふいに思い立って東京恵比寿の東京都写真美術館へ。水中写真家・中村征夫さんと、米国の広告写真の分野で評価を得ているという橋村奉臣さんの写真展を開催しており、この二つをはしごする。 『中村征夫写真展 海中2万7000時…

岡本太郎『明日への神話』を見に行く

メキシコの倉庫にほとんど野ざらし状態になっている岡本太郎の大作が見つかったという報道を見聞きしたと思ったら、いつの間にか汐留の日本テレビが展示をしていると知り、通勤の途中にちょっと回り道をして見に行くことにする。街頭に展示していると聞いて…

「東海道五十三次」の元絵は司馬江漢?

■広重「東海道五十三次」の秘密―新発見、その元絵は司馬江漢だったかの有名な安藤広重の「東海道五十三次」には元絵が存在し、その作者は司馬江漢だったというお話。著者は美術館の学芸員さんで、どこまで信じていいのかはこの本からだけではよく分からない…

画狂老人卍

国立博物館で開催中の「葛飾北斎展」を見学。北斎は雅号を何度も変えており、最後は八十になって付けた「画狂老人卍(がきょうろうじん まんじ)」だそうな。思わず絵の中のその文字に目が引きつけられる。「がきょうろうじん まんじ」だよ。すげえ。