山本弘展パンフレット

昨日お会いしたmmpoloさん(id:mmpolo)に「山本弘展」(2004年2月 兜屋画廊)のパンフレットを頂く。たいへん貴重な資料である。1981年享年51歳で自らの命を絶った山本弘氏の40代前半の写真とともに、その作品五点のカラー図版が掲載されている。山本弘氏については、山本氏に師事して絵を学んだmmpoloさんの記述と展覧会評を『mmpoloの日記』からご覧ください。


■無頼の画家・山本弘の現代性
■山本弘遺作展の展評(1)
■山本弘「泉」作者の心象としての湧水である
■山本弘遺作展の展評(2)
■山本弘遺作展の展評(3)
■山本弘遺作展の展評(4)
■山本弘遺作展の展評(5)
■山本弘に関するN先生からの私信
■山本弘遺作展の展評(6)
■映像記憶
(何れも『mmpoloの日記』より)


僕の手元には五つの絵の図版があるものの、皆さんにご覧頂けない。そこで、この文章自体、何かが伝わる可能性はとても少ないのだが、小さな感想を述べておきたい。

パンフレットに掲載されている1976年の三点と1977年の一点、さらに制作年不詳の一点は何れも油絵で、無造作と言ってよいような、太く粗いタッチが画面を支配している。微妙に色合いが異なる灰色がどの作品にも一定以上の面積を占め、安心とは逆の感情を見る者に強く感じさせる。

ところで「流木」と題する鈍い赤が画面に大きく広がる作品を一見して思い起こすのは野見山暁治さんのある種の作品である。マチエールは図版ではよく分からないので、実物の印象はまた異なるかもしれないが、ある種の類似性は容易に想像できる。野見山作品が丁寧な厚い塗りであるのに対して、山本作品にはよりぞんざいな雰囲気があるように図版からは感じられるが、そのぞんざいさに運動感が宿っている点は山本作品の美質であるのかもしれない。

山本弘氏が野見山暁治をどこまで意識していたのかはmmpoloさんに一度お尋ねしてみたい。それに、ぜひ実物を見てみたい。