2015-01-01から1年間の記事一覧

ブルックナーの風景(2): ヘス小路7番地

ヴェーリンガー通り41番地からちょうど1キロ、都心の方向に向かって歩くと、ウィーンの旧市街の北西の端にあるショッテントールに着きます。今までウィーンには2度来ましたが、最初に学生の時に来た時には国立歌劇場とその近辺しか歩いていないし、2度目は仕…

ブルックナーの風景(1): ヴェーリンガー通り41番地

今回の旅ではブルックナーの痕跡を尋ねるのをテーマにしました。このブルックナーというのは、私が好んで聴く作曲家というだけのことで、他の皆様にとっては「だから何なのよ」の世界です。たぶん、このエントリーには、「ブルックナー、ウィーン」などと検…

ハイリゲンシュタットの遺書の家

今回の旅には、観光旅行なりにテーマをつくって行ったのですが、ベートーヴェンは、言わばおまけでした。おまけでしたが、ウィーンに出かけるのが3度目なのに、これまでベートーヴェン縁の地を訪ねていないのは、音楽好きとしてはもったいないというか、宿題…

観光旅行客の頼りなさについて

純粋な正真正銘の観光旅行をするのは、学生時代以来初めてのことでした。純粋な、というのは、本当に観光を目的に、それもたった一人でどこかに行くという旅のことを、ここでは便宜的にそう呼んでいます。その土地に誰かが待っていると、純粋さには但し書き…

忘れがたきもの

学生の頃の旅は、帰っても情念が彼の地に残っていて、すぐにでもまた行きたいと願うようだったのですが、歳を取ってくるとそういう性急さはどこかにいってしまうらしく、それどころか、風景の美しさや物珍しさといった目に訴える対象への心残りみたいなもの…

SNSとインターネットのウィーン

こんな話はいつも海外旅行や海外出張にお出かけの方にとっては、あまりに当たり前の話で、今頃何言ってんのってなもんでしょうけど、とにかくも私にとっては初めての体験で、本気でびっくりしてしまったので、日本に帰ってそのびっくり感が消えないうちに自…

ザンクト・フローリアン修道院に来ています

昨日から2泊の予定でリンツの郊外にあるザンクト・フローリアンの修道院に来ています。リンツはウィーンから180キロ西に位置した都市で、特急列車でウィーンから1時間半、オーストリアの中では大きな町ですが、ウィーンから来るとこじんまりとして、人ものん…

一つの枠を出て別の枠を体験する

ウィーンの空港から重いスーツケースをよっこらしょっと電車に担ぎ上げて重たい曇り空の下を都心に向けて電車が走り出すと、駅に止まるたびに乗客が増えてくるのだが、日本とは違って人語が少しも増えていかない。皆半で押したような寡黙を守り続けている。…

ウィーンに来てみると

20数年ぶりにウィーンに来ました。前回は、一応曲がりなりにも仕事ですと言える状況で、東京から連れて行った人を案内するような役回りだったので、来たと言ってもそれなりに慌ただしく、街を見たのか見ないのか、よく覚えてもいない程度の滞在でした。でも…

ウィーンに行ってきます

一週間少々の短い間ですが、明後日からウィーンとリンツに遊びに行ってきます。日本の外に出るのはいつ以来だろうと振り返ってみると3年半前にインドに初めて行って以来。ヨーロッパに足を踏み入れるのは2000年の秋のスウェーデン、フィンランド出張以来。純…

宮粼駿の『風立ちぬ』をテレビで観た

先日初めてテレビ放送された宮粼駿の『風立ちぬ』を録画していたのをやっと観た。 ネットを見ていると悪評が完全に先行しているようだったし、堀辰雄の『風立ちぬ』を下敷きにしていると聞いて、甘ったるいだけのつまらないお話なのではないかと勝手に思い込…

本屋の夢を見た

本屋の夢を見た。 そこは昔ながらの町の小さな本屋ではなく、今風の大型店らしく、入り口近くの目立つ棚を僕は物色している。周囲には何人ものお客さんがいて活気があるのはいいのだが、多くの手が本に伸びては無造作に棚に返され何冊かは端がめくれて傷んで…

迷子になる夢を見た

迷子になる夢を見た。 拳銃を手にした悪人やゴジラに追いかけられる夢、高いところから落ちる類の悪夢は子供の頃から数えきれないほど見てきたし、これから行くはずの場所に辿り着けない夢も定期的に見る。楽しい旅行に行く途中なのに、なかなか乗るはずの電…