再度、がんばれ、はてな

はてな近藤社長シリコンバレーから帰ってくることになった。1年半前に近藤さんが渡米を発表したときに、一ユーザーとして、また日本に生きる一市民として、近藤さんの決断に男気を感じ、そこを出発点とした感想を「はてなのアメリカ進出によせて」と題して書いた。また、去年の春には「何故、「がんばれ、はてな」か」という文章も書いた。

今回の近藤さん帰国、京都本社移転の英断に、社長渡米、米国支社設立のときと同様大いなるエールを送りたい。はてな取締役の梅田望夫さんが温かいはなむけの言葉を書いていて、実にそのとおりだと思う。梅田さんは「格好悪いけど正しい判断ができるのは、えらいことだよ」と近藤さんに言葉をかけたと紹介している。でも、梅田さんの立場とは違って、はてなから距離がある僕は、格好悪いなんて言う必要はまったくない。むしろ「格好いい」と言ってしまおうと思う。

1年半前、スターウォーズを観ているときに一念発起したとメディアで米国行きが紹介されたときにも「近藤さん、格好いいなあ」と思ったが、今回はますます格好いい。スピードの速い業界にあって、現状を見極め、迅速な意思決定をした決断力、複数拠点の可能性と限界を体感し、新しい経営方針にしっかりと反映した分析力とイマジネーション、現実と自分との距離を常に測りながら、いまの時点でもっとも正しいと感じられることを実行できるのは大したものだ。

近藤さんのニュースを見ていて、正月明けにニューヨークで活躍する写真家、橋村奉臣さんにお会いしたときにHASHIさんが言っていたことを思い出した。
アメリカと違って、日本だと前に言ったことと違うことをしようとすると、変な目で見られる感じがして面倒くさいでしょう。アメリカなら“OK, I'll try this way”ってぱっと新しいことをやるのに」
そう言ってHASHIさんは苦笑いをしていた。近藤さんには、これからも古い自分にとらわれない新しい動きをどんどんしていただければいいと思う。今回の意思決定のことも含めて、それがまたひとつの新しい生き方のモデルになる。万が一、はてながうまくいかなくなって、「はてなダイアリー」がなくなることにでもなったら、僕のブロガー生活もその時点で終わりだと思っているので、1年半の、余人にはあずかり知らぬ濃密なシリコンバレー体験をも大きな糧にして、近藤社長にはこれからますますがんばってもらいたいのである。