誰か!

昨日の文章に「大江文体だね」と勢川びきさんからコメントをもらった。実にその通りで、大江健三郎を読んでは文章は大江もどきになり、開高健を読めば大げさな比喩がたちどころに顔を出す。我ながら性格が単純である。

海外の文学作品が、英語のままで引用される学究的な大江の特徴は今度の新しい小説にも踏襲されている。「単純」の上塗りなのだけれど、それを目にしているとアメリカの映画やテレビドラマで登場人物が叫ぶ次のような言葉が耳に届くような幻影に襲われた。

「Somebody! Anybody!!」

肉親が倒れているのを見つけたヒロインが、助けを求めて叫ぶ声。「だれか! だれか来て!」という声。誰か、誰でもいいから、という逼迫した声。

僕の場合、そこまでぎりぎりの場面に立っている訳ではないものの、そんな風に声に出したい気持ちが今日は少し。