愛が足りない

『三上のブログ』のエントリー「愛は不在そのものである」(2008年1月18日)でメカスが60年代に書いた日記の一説が紹介されている。あらためて書き写すと、それはこう。

愛とは愛以外のすべてのもの------憎悪・羨望・怒り・嫉妬・物欲・エゴ------の不在である。愛は不在。愛は無------しいて言えば------

それを受けた『メカスの映画日記 ニュー・アメリカン・シネマの起源1959―1971』の訳者で、メカスと交友がある飯森昭子さんの言葉。

失うものを持たぬ強さと優しさだ、とやはり私は思う。彼が自分の人生をささげて築いたものも彼のものではない。

自分を振り返ると、いまだに何かを失いそうだと心が汲々とし、あれは何かを失ったことになるのではないかと不安に陥る生活を送っているような気がする。この心の動きは貧しさの表れではないかとちょうど考えていたときに、三上さんのエントリーが刺さってきた。酒で紛らわすような小手先の工夫をせずに、はっきりとこうした貧しい心と決別できる日が来るのかどうか。