新日フィルの定期公演に行った

昨日は音楽鑑賞仲間のBさんからお譲りいただいた新日本フィルハーモニー交響楽団の定期公演を錦糸町すみだトリフォニーホールで聴いた。午後3時過ぎに頂いたメールを読んで急遽ピンチヒッターを務めた次第だ。曲目は魔笛序曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、ブラームス交響曲第4番と、まさに正しいドイツ音楽鑑賞会と言いたくなるようなプログラムだった。ピアノ協奏曲の独奏者はアンティ・シーララというまだ二十歳代の若いフィンランド人。2003年にリーズ国際コンクールで優勝している人で有名オケに独奏者として呼ばれ始めている、つまり売り出し中の存在らしい。

指揮者はミヒャエル・ボーダーというドイツの人。プログラムによるとドイツを中心にあちこちの歌劇場で振りながらオケのコンサートも手がけている中堅の指揮者である。と聴くと、手堅くオーソドックスな演奏を聴くことになるだろうと思ったら、案の定だった。無分別に個性を振りまきたがる指揮者よりも、こういう人が指揮する演奏会ははずれがなくてよい。曲に見え隠れする襞を強調するよりも、曲の大局的なつくりを明らかにし、音楽のスムーズな流れを大事にする演奏で、CDで名が売れた「私の個性を聴きなさい」といった演奏とは少々肌合いが違う職人の仕事を聴いた印象である。ただ、自分の好みからいうとちょっと解釈が大らかというか、剛毅に過ぎる感じがある。

シーララはこれ一曲ではよく分からないが、これも下手な誇張を避けた、しかし技術という点では相当しっかりしたものを持っていそうな余裕のある音楽が好ましかった。リサイタルを今度聞きに行ってみよう。

前にも書いたが、やはりオケのコンサートは今の僕の感性にはそぐわない部分がある。室内楽か、ソロのリサイタルの方がくつろげる感じが強い。それはそれとしてたまにオーケストラを聴くのは楽しい。