ンタタターの『運命』がアフタービートの革新性で西洋音楽のリズムの世界を広げたのだとしたら、その前後の音楽ってどんなだったんだろう。ふとそう考え、同時にドイツ語がどう歌われていたかを思い起こそうとしてみた。ポンっと啓示のようにシューベルトの『美しき水車小屋の娘』の第一曲『放浪』が頭の上から降ってきた。
楽譜は、ここに。
http://imslp.org/wiki/Special:ImagefromIndex/33661
音はYouTubeから。
ドイツ語の発声そのままの弱拍から始まるアフタービートの旋律と、そして歌と絡まるピアノの音形は、弱拍が常に高い、ンタッ・ンタッのアフタービート! このピアノを「アフタービート」と意識したことは実はいままで一度もなかったのに、『西洋音楽論』を読んだ頭に二種類のアフタービートが聴こえてきた。20世紀のモダンなリズムを先取りしたシューベルトの先進性、と言ってよいのか、どうなのか。