『シベリウス−写真でたどる生涯』という彼の伝記本を読んだ。若い頃、ベルリンに留学したことは聞き知っていたが、その後、短期間ウィーンにも行っていたことは知らなかった。一般人が読むレベルでのシベリウスの情報は、それほど多くない。Wikipediaの日本語版にもウィーン留学のことは書かれていない。
彼がウィーンで感銘を受けた作曲家がブルックナーだったという。第3番を実演で聴いて、とりこになったらしい。果たせなかったが、ウィーンに来るにあたり、当時すでに大家としてならしていたブラームスかブルックナーに師事したいと彼は考えていたのだと本には書かれている。
自分にないものに対して、それを前向きに受け入れられる人と、理解ができなかったり、拒絶してしまう人とがいる。新しい情報の授受にはタイミングの問題もある。旋律が風に吹かれて、ひとつ、またひとつと流れてきては消えるようなシベリウスの音楽と、複数の旋律が複雑に絡み合ったモザイクのようなブルックナーの音楽との距離を前にすると、若いシベリウスがブルックナーの3番に何を聴いたのか、とても興味が湧く。
- 作者: マッティフットゥネン,舘野泉,菅野浩和
- 出版社/メーカー: 音楽之友社
- 発売日: 2000/11/01
- メディア: 単行本
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