美崎薫さんがブログを始めた

夢想家、未来生活デザイナーの肩書きを名乗り、『記憶する住宅』の実践者にして『SmartWrite』、『SmartCalendar』の開発者である美崎薫さんから久しぶりにメールが来た。おやおや、これは珍しいと開いてみると、

春の嵐
お世話になります。

という無茶苦茶な時候の挨拶で始まる文章が書き付けてある。東京やその近郊は、昨日ものすごい風が吹いたので、美崎家の周辺でも嵐の様相だったらしい。その、昨日もっとも印象的だった単語がぱっと美崎さんの脳に浮かび上がる。それを書き付ける。すると、本題に入る前のつなぎの一言として「お世話になります」という何ともビジネスメール風の常套句をなぜだか美崎さんの脳は思いつき、それを書いちゃう。美崎さんのメールは、彼の脳がどんな風に動いているかをけっこう正直に映し出しているように見える。少なくとも、普通の人よりも脳と指とが直結している度合いがかなり強いのは間違いない。

そもそもご自身が神経症の一種で字を書かずにいられない「過書字」だ本人がおっしゃるほどに、絶え間なく、いくらでも文字を書いちゃう人なので、メールの体裁を整えるなんてことはよおーく考えてなどいないのである。美崎さんのメールを見ていると、「よおーく考える」行為の中には抑制や整理ということがつきものなのだとあらためて気づかされる。脳の一方の機能は、どんどんイメージを発散したがる。それを同じ脳が御しにかかっているということだ。それにしても、僕の知人の中でもっともそっけないメールを書いてよこすはずの人物からちゃんと挨拶付きのメールが来て、それが「お世話になります」とは驚いた。

以上は前置きで、タイトルのようなお知らせをするのが今日のエントリーの目的です。ブログに対してとても慎重だった美崎さんがついにそのブログを始めたのである。もっとも電子媒体の中でのテーマを持った連載で、掲載も2週間に一度と慎重な出発だが、トラックバック機能もコメント欄も備えた正真正銘のブログ形式での連載だ。美崎さんの魅力がブログという形式の中でどんな風に出てくるのか楽しみだ。美崎さんはプロの物書きなので、さすがに表に出てくる文章はきれいに推敲されているが、コメント欄でどんどんと刺激すると、私的文章に端的に見られる「過書字」的躍動感が見られるかもしれない。

美崎さんのブログによる連載はこちらです。

■Lifelog〜毎日保存したログから見えてくる個性


【おまけ: 美崎さん関連の最近のエントリー】
■便りのないのはよい便り(2008年3月4日)
■美崎薫さんの「PilePaperFile」を見てきた(2007年11月20日)
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