ニコンD40の第一印象

ニコンの小型一眼レフ「D40」を入手して一週間少々。2度の週末に使ってみた第一印象を書き連ねておきたい。


とにもかくにも、まだうまく使いこなせない。筐体が小さくて右手の親指がはみだし宙ぶらりんになるのは慣れた。軽いからぶらぶらとさせながら歩き回るのには楽ちんカメラで小さいことはいいことなのだが、操作面ではキャノンからニコンに変えたために露出補正の表示とダイヤル操作が逆さまなのに撮るたびに混乱している。キャノンをはじめメーカーの大勢は、「プラス補正」(画面を明るくする)が右方向にダイヤルを回し、同時にダイアグラム表示も右に伸ばすのだが、ニコンはまったく逆で、右に回すとそれは「マイナス補正」で画面が暗くなる。いちいち撮るたびに「えーっと、これは反対で右に回すのはマイナスで」と考え考えの操作。こんなの慣れてしまえばなんてことないのだが、新しい環境にすんなりと溶け込めない中年の不器用さが如実に顔を出す。


ダイヤルが一つしかない不便さは「想定内」で、それなりに我慢しているが、やはり本心ではちょっと「不便」である。これまで使っていたキャノンのEOS 20Dなら、露出補正は二つめのダイヤル(ジョグダイヤル)で一発操作が可能だったが、ダイヤルが一つしか装備されていないD40では、ボタンを押さずにダイヤルを回すと通常の露出操作、ボタンを押しながら回すと露出補正の操作になる。まだこれもときどき混乱。ただ、操作については不便を感じているのはそんなところで、全体的には使い心地は悪くないと思う。とくに最初にデジタル一眼をこれで始める人には何の問題もないだろう。


まだ慣れないのは画質の違い。「D40は色合いが派手」とは聞いてはいたが、ときどき「うわっ」と思う。そもそも派手な色遣いは嫌いではないのだが、青がシアン系のド派手な表現になったり、朝日を浴びる木の幹が赤っぽくなったりするのを見て「うーん」と唸りたくなることしばし。画質はいろいろとデフォルトの設定を変更できるようになっているので、自分自身を最も納得できるモードを探すしかない。それでも現像段階で彩度や色合いを細かくいじるか。なんだかんだと写真趣味は塵も積もれば山となる的に時間がかかる。


さらに露出が読めない。標準的なマルチパターン測光で返してくる画像の明るさが、とくに光の具合でコントラストが強い画面の場合、僕が望むよりもプラス側に振れていることが多い。これはひたすら機械の癖を読めるようになるまで修練を繰り返すしかないと思う。それまでは失敗写真が増えることに耐えなければならない。


また、そもそも階調表現にEOS 20Dほど余裕がないのではないかと疑っている。これは単に撮り方の問題で間違っているかもしれないが、逆光の場面で黒が潰れ、白が粘らない感が強い。ちなみに、次の作例中前者がEOS 20D、後者がD40なのだが、どうもD40は逆光が簡単に黒く潰れてしまう。

■EOS 20Dの作例

■ニコン D40の作例


これも設定変更である程度防げることかもしれず、今後の課題だ。何れにせよ、画質や色に対する違和感は言葉で表現しにくい微妙さで、しかしその微妙の違いに人間の感覚ははっきりと反応していることに面白さを感じる。道具が手に馴染むまでには時間がかかるものだとあらためて実感している。