来週はお盆休みだし

『三上のブログ』ではジョナス・メカス『どこにもないところからの手紙』を下敷きにして反「計画主義」的な生き方が、教条主義とは正反対の柔らかい文体で語られている。このエントリーはまだ続きがあるようだが、ここまでを読むだけで心が柔らかくときほぐれ、神経が休まる感覚を味わうことができた。

■ジョナス・メカス『どこにもないところからの手紙』から(『三上のブログ』2007年8月6日)


僕は「計画主義」がすべてに優先して重要視される資本主義の会社社会で生きているが、この形が人間の進歩の末に選ばれた優れたシステムであると考えることには大きなためらいがある。始めがあり終わりがあるキリスト教的な価値観、あるいはユダヤ教的な価値観に物事をなす爆発的な力が宿ることに異論はない。とりわけアメリカではそうした力の源泉と、それらが生み出す事物の凄さを嫌というほど見せつけられた。それはいろいろな形を取って現れた。世界貿易センターのツインタワーの圧倒的な存在感もそうだ。当時幼稚園生だった我が子のお友達の豪邸もそうだ。その豪邸の贅を極めたプールに浮き輪で浮かんでいたそのお父さんにも、生まれて初めてインターネットでデルのパソコンを購入した時に電話でやりとりしたオペレータの手際のよさを含めた、かゆいところに手が届くサービスにも、その他のさまざまな計画と運用の力に「まいったなあ」と思ったものだ。


しかし、そうした現代を形作る思想と科学に圧倒される日々の中で、ある瞬間、「だからどうした」とつぶやきたくなる自分がいる。中沢新一の『アースダイバー』を読んだ影響が我が身にまだたゆたっているらしく、“資本主義経済を支える一神教的なもの”に対峙する日本の、民俗学的な記述にそぐう叡智、言葉にならない思想に心が動く、そういうモードに入ってしまったようだ。来週の日本はお盆休みだし、世間の動きとうまくシンクロしていて、これはなかなか悪くないかも知れない。東京の街を歩くのにも来週は格好のセッティングだ。