再度、E-410と40Dx、どっちがいいか

カール・ベームの話を4回も続けて書いてしまった。本人だけは80年の公演を聴いた感想も含めてあと2,3回はいきたい気分だが、さすがに「お前、いい加減にしろよ」と無言の声が聞こえてきたような気もし、これはあながち空耳ではなさそうな気配もあるのでいったん終わりにします。お付き合いいただいた皆様ありがとうございました。


さらに閑話休題中の休題。相変わらず、オリンパスE-410ニコンの40Dxの比較を続けている。最近は以前見放したはずのキャノンEOS Kiss Digital Xも再度視野に入れて、「この3機種から選ぶなら」ごっこをしている次第。


ある意味でどれも同じじゃんという言い方もできるのは、やはり同一の価格帯であるからには自然な感想だが、はっきり分かってきたのは写りの善し悪しはほとんどまったくないということ。色合いの違いはある。これは作った人たちの思想の違い、選ぶ消費者の趣味の問題になるわけだが、40Dxはいちばん彩度が高く見てくれの良い画面になる。E-410は「デジタルカメラマガジン」の記事が「大人色」と評していた、彩度低めの落ち着いた色合いが特徴。キスデジは、かっちりとした、やはり派手目の画像をよこす。


と書いたものの、これは写真の色彩に特別敏感な人、差異を拡大することが商売になる人の感性に寄り添ってみたときの表現で、私ぐらいの鈍感さなら、“比べなければ”分からない。比べれば分かることだが、わざわざ比べなければ分からないぐらいなら、わたくし的には「差はない」とあえて言ってしまおう。


自分でも意外だったのだが、機種毎の差を大きく感じるのは、むしろ、持った感触や操作感の方だ。残念なことに、それがどれも欠落感として表れてくるのがちと痛い。


例えば、と前置きをしながらめちゃ具体的なことを書くと、E-410はくだんのファインダーの小ささ。筐体が小さいために起動スイッチのオン・オフが少しやりづらいこと、グリップがないこと(オリンパスはこれを積極的なメリットとして売り出しているけど)などが気になる。このグリップについては、デジカメ一眼の最大の発見といってよいと私は思っているくらいで、積極的に支持に回りたい。撮る際にはカメラは左手で支えるものだから、全然関係ないのだが、持ち歩くときにこのグリップが便利なのだ。ユーザーの方は皆そうだと思うが、昔は首に書けるか左手でレンズをくるむように持ち歩いていたカメラが、グリップ付きになってから、右手でぶらぶらとぶらさげながら持ち歩けるようになった。ここには微かながら、かつてはなかった大いなる自由の感覚が微妙に含まれており、私はこれを愛しちゃっている。本体700グラム近いカメラが重く感じないのはグリップ様のおかげ。こう書いてしまうと、E-410は選べなくなってくる。あとは、マニュアルとオートフォーカスの切り替えがカメラのメニューで行わなければならないのは不便。


でも、レンズの小ささ込みの機動性はやはりいいし、オリンパスのゴミ取り機能が他社をぶっちぎってよいとの評価には耳がダンボになる。交換レンズを取っ替えひっかえしている間にゴミが混入し写り込むデジ一のデメリットはやはり無視できない問題。「写真帳」に掲載させていただいたなかでサンプルをお見せすると、ゴミ取り機能を備えていないキャノンの一眼で撮ったこちらの画像、富士山の左上の空にいくつかのゴミの影が写っていてがっかりだ(ぼくちゃん、写ったゴミ画像を除去するソフトを持ちあわせていない)。その前に撮った写真には写っていないから、直前にレンズを交換したときに入り込んだと見える。

http://blog.goo.ne.jp/taknakayama/e/b09e683e34d0b1d23dc57a5acfedca50


40Dxは3機種の中ではファインダーがもっとも見やすくいい。カメラはファインダー、と考えてしまうと、これが一番使いやすいかもしれない。グリップ感もピカイチ。ファインダーよし、グリップよしで、ダストリダクション機能がないことを除けばE-410の軽やかさを一歩リードかな。しかしながら、上位機種の80Dも同様なのだが、四六時中触るダイヤルスイッチがなぜか細いつくりで、回しにくさは3機種中随一。これもちょっと気になる。でも、運動会撮影をしない身にとっては、人気の80Dと比べて、こっちが実用性の面で劣る感じはしない。


キスデジは、持ったときに筐体の小ささに由来する違和感、右手のグリップに若干の持ちにくさの感覚があるため、はやばやと次期デジカメ候補から外れた機種だったが、その点を除けば、やはりこいつがキャノンを使っている自分にとっては最もしっくりくるかもしれないと、再評価の途上にある。なんだかんだいってよくできている。


話は変わるが、E-410の宣伝はあらゆる層にアピールするやり方がうまくて感心する。昔からのカメラ好きには「OM-1」のスタイル復活を意識したことを盛んに宣伝する。これで、ベテランの興味を大いにそそる。写りを気にする理屈派にはフォーサーズ・システムが如何にデジタル向けに最適化された未来志向にシステムであり、撮像素子に斜めからの光が入ることを避けることによって画質の向上が図られている点を強調する。コンパクトから乗り換え派や重たいデジイチにうんざりしている人たちには、自慢の世界最軽量がアピールできる。好感度抜群の齧歯類系美少女、宮崎あおいを使ったコマーシャルは全方位的にバッチグー。私も「空!」のテレビ広告大好き(もしかして、「あおい」は同機のイメージ色であり、同社の自慢でもある「オリンパスブルー」にかけている?)。オリンパスは、先の業績発表でデジタル一眼市場の2強、キャノン、ニコンに挑戦状を叩きつけたが、二台目、三台目を欲しがる写真趣味のおじさんから一眼初めての女性まで吸引しそうなE-410の売れ行きはあらためて気になるな。