「好きを貫く」

昨日、Kさんに思いがけずお会いしたら、法学博士号を授与されたとの嬉しいお知らせをいただいた。

Kさんは、僕が前勤めていた会社の同僚で、情報法の専門家である。中途採用で入社する前は(未だに信じられないのだけれど)保険会社で営業をやっていたのだそうだ。大学も法学部の出身ではない。そのKさんは転職して「好き」な法律の仕事につき、さらに30代の半ばを過ぎてから大学院に通いはじめ、40代半ば直前(?)についに博士号を手に入れた。サラリーマンをやりながら、同時にいくつもの大学で非常勤講師で教えながら、ご自身も学生として勉強する生活は生半可なことでは貫けないはずだ。「しんじられなーい」と叫びたいところだが、この人が「たいへん」だとか「がんばる」などと言っているのを聞いたことがない。常に飄々、会社の仕事は誰よりも早く切り上げ、それでいながら会社の稼ぎ頭の一人として「Kさん、お願いします」という調査・コンサル業務の固定客を誰よりも掴んでいた。天は自ら助くる者を助く。心からおめでとうと言いたい。

こんな話は本来であれば内輪ですればいいだけの内容ではあるが、梅田望夫さんのエントリーに触発されたここ二、三日の書き込みの締めとしてご紹介させていただく。それにKさんはいくつもの大学で教えている公人だし、今年は東大でも教えられるそうだから、ほんとうは本名でご紹介してもいいくらい。本人に了解を取っていないので、今日は「Kさん」で。

それにしても、彼とは仕事の内容も、性格もまるで違うのにウマが合う。そのことを指して両人を知る複数の人に不思議だと指摘されたことがあるが、「世界のあちこちで一緒に酒を飲みまわった仲だからね」と答えることにしている。人の交わりには人知を越えた不思議な部分がある。