いまだに一部の運動部にはいじめか

勤めから帰宅したら、末の息子が開口一番言った。


「B校の2年生、いじめひどいって。3年生はみんな優しいけど、2年生は新入生をいじめるのを楽しみにしているようなのばっかだってさ」


息子の野球友達のA君が甲子園にも出場したB校の野球部に入部して三日目だ。入学式がまだ行われていないのに、4月の声が聞こえたとたんに朝の9時から夜の8時まで練習というのも尋常ではないと思ったが、その上に希望に燃えて入ってきた新入生につらく当たる子供たちがいるのがエリート高校野球部の正体だと思うと、大いにしらける。運動部は昔からそういうもの、多かれ少なかれ理不尽なものと相場が決まっていたが、いまだに何にも変わっていないらしい。1年の学年の違いで権力が発生し、それが陰湿に濫用される。


息子が「いじめ」という言葉を使ったその実態が何なのか、どんな意地悪が行われているのかは直接聞いていない。だから、実態はたいした話じゃないのかもしれない。しかし、息子が「いじめ」と言ったということは、A君自身がそう感じたということに間違いないだろう。気が滅入るのは、おそらくA君が感じたいじめはまずもって表沙汰にならない点だ。仮にA君がB校野球部の運営が不当だと感じても、学校のシステムにその声を受け止める仕組みがあるとは思えない。また、まじめでがんばり屋のA君は、きっと最後まで我慢を通すだろうから、上級生の非民主的な言動はうちの息子のような横の友達ネットワークには流れても、大人社会には伝わらないだろう。当の野球部は今年の夏も甲子園出場をねらっており、地域の話題の的だ。よいしょする空気はあっても、そのムードに水を差すような動きは誰も見たくも知りたくもないだろう。


A君はやはり上級生がいばりくさっていた中学の野球部で3年間がんばり、最後にはキャプテンとして、その体質を浄化した子だ。彼がB校野球部でも同じような成果を上げることを密かに期待したい。たいへんだろうけど。