自信を持ち続ける

水曜日の夜、フォーチュンの「米国外でもっともパワフルなビジネスウーマン50人」に選ばれた和田浩子さんに勤め先の仕事の関係でご講演いただいた。こちらのエントリーでご著書を紹介したマーケティングの専門家の方だ。

http://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20060725


P&Gでパンパースやリジョイなどのブランドを成長させ、副社長まで登りつめた後に、ヘッドハンティングされて電気掃除機メーカーである日本ダイソン、さらにトイザらスの社長を歴任するなど多様なキャリアをお持ちの和田さんだが、この日は当時25名の中小企業だった日本ダイソンに転職して同社のビジネスを軌道に乗せた際に、どのようなマーケティングの手腕を発揮して課題解決を実現されたのかに焦点を当ててお話を聞いた。


和田さんはお会いすると小柄な方なのだが、自信と明るさに満ちあふれた姿に接していると本当に大きく見える。ご自身の経験の引き出しから様々な例や視点を持ち出して理路整然と、しかし聞いている者にさまざまな考えるヒントを与えるような膨らみのあるお話をユーモアを交えて聞かせていただいた。ともかく明るくて、さわやかで、格好いい。


先週お会いした写真家の橋村奉臣さんといい、今週の和田浩子さんといい、それぞれの世界で他人がうらやむような成功を収めた方々だが、お二人の心の持ち方を取り出してみると、とても似たところが見つかることに気が付く。仕事に対する献身、つまり努力という面できちんと自分に課された宿題をこなしているということ。さらに若い頃から自分に対する揺るぎない自信を持ち続けていらっしゃること。その二つの面でお二人はそっくりなのだ。その結果として、お二人ともに強さと明るさのオーラを発散していたように思う。


努力を怠らず、自信を持ち続ける。それができればお二方のように世間的な成功を手にすることができるというような単純な話は存在しないし、その点についてはまったくとは言わないが、僕自身の興味はほどほどである。もっとも重要な才能をここでは何も問題にしていないし、そもそも世の中で担える役割の数には限りがあるのであれば、他人がうらやむ成功が都合よくそこいらに転がっているわけもない。むしろ、僕が関心があるのは、お二人のような圧倒的な成功を手に入れずとも、もっと言えば世間的な意味の成功をせずとも(時にはあからさまな失敗の目にあったとしても)、他人に強いられたのではない努力を怠らず、自分自身に対して自信を持ち続ける生き方をできないのかという点だ。有限である成功とは無関係に、努力を怠らず、自信を持ち続ける。これは愚問だろうか?


この問いは自分自身に対しても意味があるとは思うが、実は自分の子供ら、彼らを含む若い世代のこれからに思いをいたしながら発している。のんびりと暮らしながら、自由な心のありようを持ち続けられるのであれば、それが一番ハッピーだとは思う。同時に、それってもしかしたら一番難しい生き方かもしれないと思う。そうであるが故の素朴な疑問。


勤勉克己の儒教精神に戻ろうという話ではない。現に橋村さんは米国本土で、和田さんは日本国内ながら英語を活かし日本の会社とは全くことなる企業文化を持つ多国籍企業でキャリアを築いている。少しだけ米国生活を経験した者として、やはりそのあたりに考えるヒントがあるのだろうという気はする。今日は何のオチも用意せずに途轍もなくマジな話をしてしまった。