未来を人よりも先に歩く男の言葉を追いかける

昨日は未来生活デザイナー・美崎薫さんと本作りの打合せをした。いや、打合せをしたと書くのは少々嘘っぽくて、僕は担当編集者のUさんの後にくっついて出かけ、二人が真剣に打合せをするのを横目にコーヒーを啜り、ときどきへらへらと茶々を入れていただけなのだが。

時間を空けて会うたびに、新しい行いを始めている美崎さんだが、昨日はこちらで紹介されたばかりの「8pagememo」をおもむろにテーブルの上に取り出し、使い始めた。


■8ページメモまとめ(『Lifelog〜毎日保存したログから見えてくる個性』第49回)


こちとらはiPhoneだのiPadだの、世の中の優秀な連中が一般大衆向けに頭をひねって使いやすくしてくれたガジェットを使うのが精一杯の行いで、そういう最新機器を使う自分を、きっと心のどこかで「オレってちっとはクールじゃね」とか思ってたりするのだが、美崎さんの場合には、欲しいが世の中にないものは自分で作るというのが基本方針で、会うたびになにかしら新しい手作りの道具が出現する。しかし、僕らの目に見えるものは彼の手作りのほんの一部らしく、それは淡々、飄々と語る美崎さんの言葉の端々にうっすらとだが紛うことなく表れている。

何という違いだろう。これは単なる凡人の賛嘆と驚愕、地べたを這う小動物が空を舞う鳥の気持ちを忖度するようなものだが、僕が「iPadiPad」と騒いでいる何年も前からタブレット型PCを縦横無尽に使いこなしていた美崎さん、人々がライフログの可能性を本気で考え始めたときにはすでにその実践を長く続けていた美崎さんの目には、いまの世界の表層はどのように映っているのだろうと呟きたくなる。

最初の原稿を拝見したが、遅くとも今年中には出るはずの新しい美崎本は、そんな関心に対する興味津々の回答がしっかりと詰まった、これまでに世の中に出回っているIT本とは一線を画すものになりそうな気配である。ちょっと面白そうだぞとアンテナを立ててくれる変わり者のみなさん、ぜひ楽しみにしていて下さい。と、そう書いちゃう。