上岡敏之の遅いブルックナー

先日、ヴッパータール交響楽団の鑑賞記をアップして以来、そのときの指揮者である上岡敏之さんの名前で検索してお越しになる方が後を絶たない。そんなに人気のある人だったんだと認識を新たにした。


このコンサートのチケットを譲ってくれた人から「癖がある」とお聞きしていた先入観があったからでもあるのだが、実際に聴いてそんなでもないんじゃないかと思ったので、ブログには「オーソドックス」という言葉を無理矢理使って感想を書いた。少なくとも奇をてらう音楽を作る意識はないんじゃないかと、これは直感でそんな風に感じた次第。


ところが、昨日HMVで彼とヴッパータール交響楽団の新譜を聴いてちょっと驚いた。ブルックナー交響曲第7番なのだが、遅い。極端に遅い。チェリビダッケもびっくりというテンポ。第一楽章が28分、第二楽章が33分と書いてあったぞ。これがどんなに遅いかと言えば、第1楽章はだいたいの指揮者は20分ぐらい。第2楽章も早く振る人は20分少々で終わってしまうのが普通の曲なのだ(こちらをご参照ください)。店舗の試聴システムは最初の数分だけしか聴けない仕組みだったので、その後がどう展開するのか、あれで最後まで聴き通せるのか、心配になった。たしか来日公演でもこの曲目が取り上げられていたはず。実際に聴いた人からどんな感想が出てくるのだろう。


「オーソドックス」などという言葉は撤回したものか、などと思案しつつ、これはもう少し聴いてみる必要があるなとあらためて興味を引かれる上岡敏之である。