小説を読む

久しぶりに現役の、それも若手の人の中編小説を手にとって読み始めたのだが、どうもいけない。ときどき比較的簡単に読めてしまう物語性の強い小説を読んでおり、面白いのがあればブログに感想文を書こうと思っているのだけれど、響くものになかなか出会わない。感想を書けば悪口になってしまうことが必定で、悪口は誰でも言えるし、誰もが読みたくないと書く前から分かっているから、畜生メ、面白ければブログのネタにしようと思ったのにとちょっと恨みがましく本の内容を振り返りながら何も書かない。したがって、このブログでは小説をネタにしたことがほとんどないという結果に終わっている。イマイチな作品出会ったときにも語るに足るサムシングを見つけてくるのが批評というものでしょうと、また口うるさいもう一人の自分が一瞬囁きにかかるのだが、それはもう少し書ける自信がついてからね。それにオレが書いているのはたかだか感想文のレベルだから、と相手にしない。


それでも女性作家はけっこういけてるような気がするんだ。宮部みゆき恩田陸とは言わないが、高村薫桐野夏生なんてオレ好きだしね。いや、そんな名前出すなよ、くだらん、暑苦しい、なんて怒らないでください。でも、男に比べればよかないか? いま男性作家でいま誰が面白いんだろう。やっぱり村上春樹? それってどうかしていないか? 平野啓一郎? んー、それはありかもしれないが、でも、まだ二、三編しか読んでいない。よく分からない。


件の若手作家の小説を読んでいる最中に、高校野球部一年坊の息子が声をかけてきて、こんなことを言うんだ。

「お父さん、私立校のマネさんってチョー大変なの知っている」

彼は友達に高校野球で有名な私立高校で野球をやっている友達がいて、情報源になっている。マネさんというのは、つまり野球部のマネジャーさん。ほとんどすべてが女の子の、お世話係の生徒さんだ。

「○×校なんてさ、居残りのやつが10時半頃まで練習してるんだって。マネさんってそういうのが全部終わってから片付けをして帰るから、帰りはいつも夜中だって。だからマネさんは勉強なんか絶対できなくて、みんなチョー馬鹿だってさ」


小説を読んでいたはずなのに、その瞬間に目が覚めたような気がした。