ニコンD40を買った

今まで使ってきたカメラが使えなくなりそうな状況となり、けっきょく買ってしまいました「ニコン D40」。ニコンが出している最軽量・最安値、最もお手軽なデジタル一眼である。昨晩買って帰って、今日はブログも書かずに触って遊んでいた。その第一印象をご紹介したい。美崎薫さんの『デジタルカメラ2.0』のような思想の領域に足を踏み入れない“デジタルカメラ1.0”的な写真機への期待の記述である。カメラを触らない方にはつまんない話になると思うので、その旨先回りして言っておきます。


このブログでオリンパスE-410がいいだとか、ニコンD40Xがいいなどと書いたが、その際にD40には触れなかった。ところが、よく考えるとやはり1000万画素機は嫌だなと思い始め、ン百万画素機でいいのではないかと考えたときに、今まで使ってきたCANONの800万画素機か、D40だなと思った。なぜ1000万画素機が嫌かと言えば、単純な話で必要もないのに重たいファイルの操作を余儀なくされるから。800万画素機だと、JPEGで5メガ、RAWだと8メガ前後のファイルを扱うことになるが、一度写真を撮りに出ると数百枚分を処理することになるので、大して処理能力がない我が家のパソコンでは時間がかかる。1000万画素機を購入してますます効率が悪くなるのはうんざりという気分になってきた次第である。


この話には前提があって、僕の場合、写真はブログで皆様に見ていただくのがアウトプットの形態と割り切っている。だから本来ならば200万か300万画素もあれば充分。そこで600万画素機であるD40に白羽の矢を立てた。割り切りである。だいたい、今まで写真を撮ってきてA4サイズ以上に引き延ばして飾ったことなんて僕はほとんどない。ということはこれからもない。高画素の写真をパソコン上で拡大表示をして、「わーっ、細かいところまで写ってらあ、すげえーっ」と喜んだ経験はあるが、だから、その写真が写真として優れていたというわけでもない。


話はわき道に逸れるが、画素数が多ければ単純にきれいだという結果にはならないことを我々素人もそれなりに理解しだしたのが昨今だと思うのだが、最近出たパナソニックが出した1200万画素コンパクトデジカメの駅貼広告なんぞひどいもので、画素数が少ない画像に比べて1200万画素の画はこんなにきれいですと、露出オーバー気味の写真とまともな写真を比べてみせる。これはどう見たって誇大広告すれすれだ。コンパクトデジカメを買う大衆は無知だからということで画素数競争を売り上げ拡大につなげようというのはマーケティングとしてどこか間違っていないかと言いたくなる。松下さんほどの会社があんなんでいいのかね。*1


そんなわけで、600万画素機であることを割り切れれば、他の部分もD40のスペックで俺にはいいなということになった。少し説明しよう。


まず、連写機能の低さ。毎秒2.5枚だと思うが、僕はスポーツは撮らないし、子どもの運動会に出かける時期は終わってしまった。お子さんが小学生までの方は走り回るちびちゃんを撮るのに連写機能にこだわりたくなるのではないかと思う。そうなると、自ずからある程度の機種が必要になるだろう。この前、息子が野球をするのを連写したが、そのために高いマシンを買うほど被写体として魅力的とも思えず。


オートフォーカスの測距点の少なさ。D40D40Xには測距点が横に3つしか並んでいない。だから早いフォーカスを狙うには十分ではない。動き回るモデルの撮影なんてことになれば、これでは使えないということになるだろう。しかし、風景を撮るにはこれで充分だ。


筐体の小ささとファインダーの小ささは最後まで迷ったポイントだ。ファインダーは大きい方が絶対に使いやすい。筐体も手が小さくない僕にはちょっと小さすぎる。ただ、持ち歩くのに小さく軽い筐体は便利であることも確かで、ここにはメリットとデメリットとが相半ばするところがある。大きくて手になじみ、ファインダーも見やすい上位機種「D80」との間で正直かなり迷った。僕の場合、「1000万画素機より、むしろ600万画素機」というあまのじゃくな価値観が選択の鍵になった。


選択できるレンズの少なさはこの機種に関して最初に議論になるところだ。D40D40Xは筐体内にレンズ駆動用のモーターを内蔵しておらず、レンズ内にモーターを内蔵する交換レンズでなければオートフォーカスが利かない。マーケティング的に安価なモデルを作るためにということだと思うが、それ故に使えるレンズに現時点では限りがある。これはレンズにどこまでこだわるか次第。僕はいまのところない。たぶん自分が本当に欲しいレンズは数十万円の代物で、安月給の身分でどのみちそんなものを買えるわけがないので、むしろ諦めがつくというもの。使えるレンズを最小限使わせていただきますという姿勢です。


で、ちょっと撮ってみた。どんな風に測光し、どんな風な色合いの設定をすればどんな画面になるのかがまだつかめておらず、分からない部分の方が多いので、あくまで第一印象。間違っているかもしれない。色は派手だと言われているが、まだよく分からない。画面がつるっとした感じはデジカメはみんなそんな感じがするよねという印象。被写体によって微妙に赤が強めに出た印象があるが、そういう傾向があると言い切ってよいかはどうかは自信がない。


露出はマルチパターン測光で普通に撮ると、どちらかというとオーバー気味に振れる傾向か。いままで使っていたCANONならば、マルチパターン測光で測って、「これくらいの逆光なら、だいたいプラス0.3の露出補正で、これぐらいのシルエットかな」という風に経験則に照らして露出を決めていた。CANONの測光は信頼が置けたので、この方法でほとんど自分のイメージ通りの画が撮れた。CANONの機種は液晶表示が十分ではなく、明るい戸外ではよく見えない。そうなると、ますます経験則が貴重な武器になる。これに対して、ニコンでは、中央重点測光にして、AEロックを併用し、露出を合わせたいところを画面中央の測光点で計ってロックし、(さらに必要に応じて露出補正をし)あらためてフレームを戻してシャッターを切るという方法を採った。これをするのにD40はとても使いやすい。AEロックボタンは比較的押しやすいファインダー右下にあり、これをうまく使えば露出補正をしなくても狙いの明るさを得ることは難しくなさそうだ。


今日の「写真帳」に掲載した逆光の写真では、「太陽で測光」「樹木のシルエット部分で測光」「背景の明るい森の部分で測光」の3枚を撮ってみた結果、主題の木を測光したものがきれいにシルエットになり、イメージどおりのものに仕上がった。それがこれ。慣れれば、使いやすいのではないかと期待できる。

http://blog.goo.ne.jp/taknakayama/e/9a40f51c1b64e1c3dc25f2d8b4b5ffef


こちらのひまわりの写真ははっきりくっきり系の色合いが顕著に表現されている。レンズはキットの標準レンズ。

http://blog.goo.ne.jp/taknakayama/e/0f0064271c6ddfed63e0ad7e8c2911f0

*1:初出の際に間違えて「ソニー」と書いてしまった。気になって調べたらLumixシリーズのDMC-FX100の広告だった。ソニーさんごめんなさい。