バンドーさんが書いている本の話だけど

バンドーさんがここで書いている話に関連する仕事ネタです。


■献本御礼「Me2.0 ネットであなたも仕事も変わる「自分ブランド術」」(坂東慶太のブログ)


競合していた1社はオラッチのとこね。バンドーさんから紹介されて最初に手を挙げたのはウチのはず。でも、後から手を挙げた会社さんがあって、「版元はアドバンスん千ドルを要求してきたがどうする?」とエージェントが言ってきたので、即決で諦めた。

アドバンスというのは返済不要の印税の前払いのこと。翻訳書の場合、海外の著作権保持者は印税に充当する前払い金を要求してくる。一定の部数が確実に売れるのであれば、あるいは長く売れ続けてくれるのであれば、いずれ支払う印税に充てるわけだから少々の額を支払ってもいいのだけれど、思ったほど売れない本の場合、このアドバンスは返してもらえないお金だから払い損になってしまう。今回の額は、ある程度の大手の会社であれば大したことないだろうけれど、僕の勤め先のような小さな会社ではちょっと尻込みする額だった。

しかし即座に諦めたのは、読者としての僕に完全には納得できない部分があったからかもしれない。あちらの版元に最初にオファーする前、原書を半分読んだ直後にバンドーさんと行ったメールの内容をちらと紹介すると。

目次と最初の2章を読んだだけなんですけれど、ちょっと和訳出版はきびしいなというのが目下の感想です。
インターネットを使って上手に自分を売り込もうという堅実な実用書にはなっているとは思うのですが、読者を惹きつける驚きはないよう に思うのです。はてなの読者が、「買ってみようかな」と思うだろうかと考えると、どうもそこまでのものはないのではないか。

実は私は坂東さんと反対方向の懸念を持っていまして、坂東さんみたいに、ITツールを使い倒す人はこういう本を読まなくてもOKなん じゃないか、だから読者があまりいないんじゃないかということなんです。

Facebookみたいなものが早すぎるだけで、そのうちブームが来る、利用が定着するという判断があれば、先物買いでやってみよう ということもありなんですけどねえ。Facebookをやりはじめて、その価値や使い方をそれなりに心得てしまうと、こん な本は読まないのではないか、だからアメリカでもあまり売れていないのではないか?
というのが目下の疑問です。

いずれも去年6月1日のメール。この種の本を出したがるのは、N系ビーピー社さんか、S泳社さんだろうなと思っていたら、大当たりだった。出来上がってきた日本語版については、我が社が手がけたら、こんな風にきれいな本はできなかっただろうな、上手なつくりだなと感心至極。