新たなステージ

一昨年、丹沢主稜を歩いたときに下りでひざを痛めて以来、怖くて山には登れなかったのですが、昨日それ以来の山登りに行ってきました。といっても登山としてはもっとも軽量級の部類で、ハイキングというのもおこがましい程度のもの。行ったのは大山です。

大山は丹沢大山国定公園の東端にある標高1241メートルの山。江戸時代から江戸の庶民の遠足コースとして江ノ島とともに親しまれてきた場所です。だから由緒正しい山歩きではありますが、正直なところ「大山なんて山のうちにはいらない」と思っていたような場所です。娘が小学生の時に二人で登ったのが前回の大山登山で、すでに8年か9年前の話なのですが、その時はケーブルカーなんて当然のように使わず、ちょっと行っ てさっと帰ってきましたって感じでした。疲れたなんて覚えはまるでありません。

ところが今回歩いてみて、あらためて自分の体力の衰えを実感することになりました。上りも下りもケーブルカーを使い、標高差二百数十メートル分エスケープして、上り90分、下り90分のお子様向けコースだったはずなのに、体力的に目いっぱいなのです。山頂でお弁当を食べて、下りに入ったとたんに膝が痛くなり、2年前の標高1600メートルの高峰、桧洞丸からの決死の下りをすぐさま思い出すことになりました。帰り道は駅の階段を下るのすら難儀するありさまです。

今日、整形外科で診察をしてもらい、両膝の軟骨がすり減っていることを知りました。痛みの原因はそこにあったのです。若い頃、無理しましたから、さもありなんという感じはします。今後改善することはないらしいので、どうやらもう本格的な山登りは難しいようです。横浜=東京40キロハイクなんてアホな個人イベントもできないでしょう。と書いたとたんに「また行くぞ、北岳穂高槍ヶ岳」などと反骨心がたちまち沸き起こるのですが、実際には実現は容易ではないと思います。そのようにして、次第に限定されていく可能性の中で、よりよく生きることを模索していかなければならない。自分自身がこれまでとは異なる物差しで試される、人生の新たなステージを迎えた気がします。