新日フィルのサントリー定期にいった

定期会員の友人が行けなくなり、チケットを譲り受けて新日フィルのサントリーホール定期を聴いてきた。『キャンディード』序曲、プロコフィエフのバイオリン協奏曲第2番と交響曲第5番という元気のよいプログラム。

久しぶりに新日フィルをサントリーホールで聴いたが、錦糸町のトリフォニー・ホールで聴くのとずいぶん違う響きである。トリフォニーは分解能が高いハイファイのステレオ装置ようで、でも音に全体としての厚みが感じられない。前回、座る場所を動いてみて驚いたのだが、席によっては極端に周波数の低いところが聞こえてこないである。コントラバスの奏者が練習をしているのを聴いていても、最初に座った席ではずーん、ずーんと腹に響く胴鳴りがまるで聞こえてこない。これだとNHKホールの方がまだいい。久しぶりに聴いたサントリーホールは、音が良い感じに団子になっていた。

昨晩の指揮者はイオン・マリンという人で、プログラムを見るとけっこう一流のオケで振っている。それだけのことはあるなと感じられる高い統率力の下、昨晩の新日フィルの演奏は見事だった。軽快なテンポのなかメロディが澱まないという印象。木管の音をしっかりと際だたせて、主張のはっきりとした音色感が楽しめた。元気系の曲に元気系の身振りの指揮者、元気系の演奏である。団員さんはクラリネットはじめ皆さん好演、とてもよかった。

プロコフィエフのソロを弾いたパトリチア・コパンチスカヤという奏者はやけに体を揺らす熱演型の人で、僕はその手の女性バイオリニストが絵として嫌いなのである。また、ドレスの下にのぞく足が裸足なのに気がついて、それが“汚らしい"と感じられ、気になってしまった。足の裏まっくろになるよ、となんでそんなことが気になったのか、自分でも変だとは思うのだが、ともかくも感想としてはそんなところ。

どれも派手な曲ばかりで、音響的にもかなり楽しんだ夜だったが、プロコの5番の終楽章、曲ががんがんに盛り上がるところで一瞬寝ていたらしい。あれ、そろそろ終わりだぞ、という辺りで目が覚めた。

帰りの電車では、デジタル・プレイヤーでレオンハルト平均律第1集を聴きながら帰った。