sergejoさんと踊る指揮者

昨晩お会いしたsergejoさんは口は悪いし、人をすぐ茶化すし、年上を敬う精神がかけらもない不届きな奴なのだが(今日のコメント欄をご参照ください)、simpleAの金城さんと学生時代以来の友達という人だから、それも仕方がねえなあと諦めるほかはない。

しかし、この人とクラシック音楽の話をするのはなかなか楽しいのである。古い盤から最近の演奏家まで僕などはとても比較にならないほどよく聴いている。ちょっと話をしただけで、この人がどうやら根が恐ろしく勉強家で、徹底的にやらないと気がすまない性分らしいことが分かってくる。それが証拠に、2月に知り合った直後にアクセスログを見ると、『横浜逍遙亭』を舐めるように丹念に見ている奴がいる。誰だろうと思ったら、他ならぬsergejoさんであることが彼のブログを見て明らかになった。次のエントリーで過分のご紹介をいただいている。

■横浜逍遥亭 − クラシックや書籍の話題から社会・経済的なものまで多彩なブログです!


sergejoさんのブログ『CVLTVRA ANIMI PHILOSOPHIA EST ― おもにクラシック音楽な日乗』は、実は昨年の11月に始まったばかりだそうで、まだそれほど多くの人たちに知られているわけではないらしい。それはあまりにももったいないと思い、あらためてご紹介をさせていただく次第である。

このサイト、ともかく情報量が多くて、扱うジャンルは幅広いし、それぞれの曲に関してお奨めの幅も深い。素養だけでは個人でこれだけの情報発信をしていくのはできることではなく、絶え間ない情報収集を重ねているに違いない。

もう一つsergejoさんのサイトの大きな特徴は、ディスクを紹介するスタンスに押しつけがましさがない点だろう。クラシックのディスク選びは嗜好がなくては始まらないので、無味無臭というわけでは決してなく、sergejoさんの好みが隅々にまで反映されているはずなのだが、趣味の押しつけにならない地点にとどまってさりげなく語りかける口調が一貫しており、クラシック好きのサイトにありがちな、信仰の告白めいた息苦しさとは無縁なのがいい。最近のエントリーでは、ヒラリー・ハーンのコンサート体験記が面白かった。紹介されているとおり、弦楽器のよさはどうも録音では伝わらない部分が多い。要は我々が使っている再生装置では弦楽器が持つ豊かな倍音成分をうまく再生できないのがその理由ではないかと思うが、弦のソリスト、それにオケもそうだが、生で聴いて初めて「この人って、こんな音をしていたのか」と分かることがしばしばだ。

■ヒラリー・ハーンの公演に横浜みなとみらいに行って参りました! with ジャナンドレア・ノセダ指揮 BBCフィルハーモニック管弦楽団(CVLTVRA ANIMI PHILOSOPHIA EST ― おもにクラシック音楽な日乗)


ついでに報告しておくと、このエントリーでハーンの伴奏をしたノセダという指揮者について少しだけ言及されていて、その左側に後ろ姿の痩身の指揮者ががちゃがちゃと動き回って指揮をするアニメーションが貼られている。これが昨晩、sergejoさんが「ノセダという指揮者の振り方がおかしてく、会場も奏者も笑ってしまって」と言いながらしてくれた真似と瓜二つなのである。両手を高く掲げてせわしなく動き、「ピアニッシモ」でスキージャンプの着地のように腰をかがめるsergejoさんを昨晩は10回は見たのだから、このアニメの姿、忘れようもない。というわけでsergejoさんが見事なアニメーターでもある事実を僕は今日になって知ったのであった。クラシック音楽に関心のない方も、ぜひ上のリンクをクリックして、昨晩のsergejoさんの勇姿をまぶたに浮かべてみてください。