人形町の新年会

17年勤めた職場で、最後の時期に一緒に仕事をした人たち5人と和気藹々の新年会。同席したうちTさんは、20歳になる長男が生まれたての赤ん坊だった頃を知っている20年以上前からのつきあいだし、他の皆さんも仕事で同じ釜の飯を食った仲間ばかりで、こういう集まりでは、最初から最後まで、心が芯からくつろいでいる。

とっておきのネタと思って「寝ぼけ男」の話をしたら、隣に座ったドクター・コムカイさんはしっかり駄文を読んでくれていて、ご自身も夜中の2時に朝風呂につかり、上がってから時間の間違いに気がついたというとっておきのエピソードを紹介してくれた。それも2回もあったというから、ネクタイを締めて寒空の下に飛び出した僕といい勝負かもしれない。いずれにせよ、人に失敗に気を遣ってくれる際、こんな風におしゃれに対応してもらうと、お酒の味はますますおいしくなる。

会合を催した場所は、谷崎潤一郎のゆかりの地で、下町の心地よさが香る人形町。となりのテーブルも、その後ろのテーブルも、我々と似たような楽しそうな中年のグループがいて、それぞれの世界に浸っていた。パラレル・ワールドという言葉が頭に浮かんだ。

今朝予定されていたお客さんへの訪問が、相手の都合でキャンセルになり、ぎりぎりまでねばる予定だった資料作りへの意気込みと切迫感が一挙にしぼんだ。そのおかげでこうしてブログを書いている次第だが、今日はネタらしいネタも用意していないので、お気楽な身辺雑記でお茶を濁すことにする。もっとも大江健三郎の著作に対する独りよがりのモノローグよりはよほど受けがいいかもしれない。そちらはそちらで性懲りもなくまだ続きを書く予定ですが。