アメリカの新聞のイラストの素晴らしさ

ニューヨーク・タイムズの優れているところ、感心することに記事を図解するイラストの秀逸さがある。ここでニューヨーク・タイムズを引き合いに出しているのは、たまたま僕がニューヨーク・タイムズしか知らないからで、ワシントン・ポストでも、シカゴ・トリビューンでも、アメリカのクオリティ紙には共通する話だろうと思う。

記述されている内容の理解を視覚的に助けるという点でとても有用だし、さらにデザインの品質の高さ、紙面に目にとっての喜びを与えるという意味でも素晴らしい。日本の新聞には、そうしたアーティスティックな情報消費の喜びを読者に与えようという気持ちはまるでないらしく、ニューヨーク・タイムズのようなセンスのあるイラストには出会えない。

新聞がWebという新しいメディアに拡張されたときに、その伝統とセンスはより生きる。ニューヨーク・タイムズはおそらく無料の登録をしないと見ることができないはずなので、すぐに目にすることができる人がどれぐらいいるか分からないが、だから、こういう新聞のイラストを活用したインタラクティブな図解はお手の物だ。ここで紹介するのはスプートニクが宇宙を飛んで50周年になることを伝える科学欄の記事だが、これを選んだのは例として優れている訳ではなく、たまたま今日の紙面に出ていたからに過ぎない。

http://www.nytimes.com/interactive/2007/09/24/science/space/20070924_SPUTNIK_GRAPHIC.html#


もっと地味な例を挙げてみたい。次は株式欄に出ている主要銘柄の分析チャートで、S&P500平均に比べた主要銘柄のリターンの状況を見たものだが、こんな実用本位なチャート自体がとても印象的で、かつ分かりやすい。



次のはニューヨークの地下鉄に関する記事に出ていた路線図なのだが、これもなんてことないように見えてデザインは美しい。こうしたごく当たり前のグラフィックでも強力なデザイナーが採用されているのだろう。それが新聞にエンターテイメントとしての高い品質を与えている。



日本の新聞がデザインの面でお粗末であること、メディアとしての潜在的な可能性を追求するということに関して大してやる気が見えない点では、右も、左も、真ん中もあまり代わり映えがしない。その分、雑誌が頑張っているということはあるかもしれないが。