先日吉田秀和さんの話を書いたら、Yahoo!の検索エンジンのおかげで随分多くの方に拙ブログにお越し頂いたのだが、その中のお一人、yasumaruさんからはコメント欄でお声をかけていただいた。
ご本人にご教示いただき、yasumaruさんのブログ『yasuの「今日もブログー」』に行ってみた。最新の二つのエントリーがやはりNHKの『言葉で奏でる音楽〜吉田秀和の軌跡〜』の視聴記になっている。二人の共通の知人であった(知人という言葉以上の存在だった)中原中也にアプローチする吉田秀和と小林秀雄の文章の肌合いの違いを指摘することで始まる二つめのエントリーは吉田さんの人となりとyasumaruさんの吉田さんに対する愛情とが穏やかな筆致の中に表現されていて心が安まる。
■吉田秀和 賛(その1)(『yasuの「今日もブログー」』2007年7月2日)
■吉田秀和 賛(その2)(『yasuの「今日もブログー」』2007年7月2日)
yasumaruさんのブログ、文学好きの方、音楽好きの方にはお勧めだし、そればかりではなく日常からささやかな一歩を踏み出す心意気を忘れたくない中年諸氏に広くご覧いただきたい気がする。北八ヶ岳に登る話、アフリカはチュニジアへの猪突猛進型短期レジャー行などにわくわくしたし、個人的にはドイツの話に心動いた。yasumaruさんのブログは頻度こそ多くはないが、ほんとうに書きたいことを見定めてキーボードに向かっているように見える。どれも語るに足る話題があたかも話題自身が語り出すのに任せるように記述されており、そんな風に書かれているブログはそのこと自体が積極的な個性になっているようにも感じられる。
ブログをやっていてコメントとトラックバックについては功罪半ばする道具だと常々感じるところであり、とくにコメント欄については不愉快なことが多ければいつでもばっさりと切る用意はある。*1こだわりの順に言うと実名で情報発信することは優先順位の第一、第二がトラックバック、一番執着がないのがコメント機能であるつもりだが、新しい出会いをもたらしてくれるのもまたコメント機能であることを、こうした楽しい思いをするたびに思い知らされる。偶然がもたらす可能性を遊ぶ心の余裕があるときのブログは楽しい。