丹沢主稜・膝がくがく山行

二日間かけて丹沢を歩いてきた。丹沢・大山国定公園の最高峰、神奈川県で最も高い蛭ヶ岳(ひるがだけ)の山小屋に一泊し、西丹沢の名峰、檜洞丸(ひのきぼらまる)を目指す、いわゆる“丹沢主稜”と呼ばれるコースである。

天気予報によれば午後から晴れの天気が続くとある。それを信じて、しとしとと降る春の雨のなかを出かけたのだが、雨は登り始める前に止んだものの、けっきょく雲の中を歩く山行となった。

ゆっくり、しかし休みを少なく登った一日目序盤は、登り始めに元気よく追い越していった人たちをほとんど抜き返して塔ノ岳山頂に立ったが、そこから尾根の縦走に入って下りが出てくると、すぐに左膝に違和感を覚え始め、だましだましの歩行で3時40分に蛭ヶ岳山頂の蛭ヶ岳山荘に到着した。左膝は4月冒頭に歩いたときも下りで痛くなり、おかしいなとは思っていたのだが、今回も顕著にきた。

二日目は、やはり雲の多く眺望のきかないブナの稜線を、膝をかばいながら歩いた。登りはほとんど普通に歩けるのだが、下りになると痛くて足が前に出ない。このコースは蛭ヶ岳の山頂から大きな下りから二日目が始まり、痩せた尾根を登ったり、下ったりの連続。左をかばうために無理をさせた右足が次第に言うことをきかなくなり、檜洞丸山頂から下界に向かって降り始めようとすると両膝ともに満足に動かない。これは困ったと内心冷や汗をかいた。標高差千メートルを超える急坂を、今度は悪いはずの左が右膝をかばうようにして亀のようにゆっくりと下ったが、最後はほとんど前に出なくなってしまい、まったくもって難儀した。あと1キロ坂が長かったら遭難ものである。

今回の登山は良い勉強になった。ちゃんと体の手入れをしないと、もう山に登れないぞと山の神様に言われたよう。ブログを書く時間を体力強化に当てなければいけないかもしれないと、これは大まじめに思っている次第。以下、写真をいつものように。


雨はやっとあがったものの、表丹沢の登山基地である大倉はどんより曇り空。これから登る大倉尾根は雲の中。


雨が降っていないだけでもありがたいと思わなければならない。序盤の杉林を行く。


塔ノ岳山頂へ到着。風が強く吹きつけ寒い。


この日見えた唯一の青空。


丹沢山を越えて丹沢の最深部へ。この辺りの稜線は笹原がとてもきれい。



自然の芸術。


雲が切れ、姿を現した蛭ヶ岳。実物は圧倒的な存在感がある。


蛭ヶ岳山頂に立つ蛭ヶ岳山荘。この日の宿。


夕暮れ時に雲が切れた。明日を期待させる富士山と夕日。正面のシルエットの山が明日登る檜洞丸。


ところが翌朝はご覧の通り。蛭ヶ岳山頂は視界が50メートルもない。


こんな痩せ尾根を歩く。


水墨画の世界。


バイケイソウの群落が見えてきた。檜洞丸の山頂が近い。


ふと目を上げると鹿の群れがこちらを見ていた。全部あわせて十数頭が斜面の広いエリアにちらばって下草を食べている。朝早い登山者のいない時間だったことが幸いした遭遇。この写真にも5頭ほどが写ってる。ちいさいけど分かるかな。


檜洞丸山頂。あとは下るだけだが、ここからが大変だった。普通の2倍の時間をかけて下山。


春は山の中腹まで登ってきた。


下り着いたゴーラ沢出会の清流。やっと青空が戻ってきた。


道路までたどり着く。足はがくがくだが、これからは膝を使わないでいい平地歩き。中川温泉のバス停まではあと1時間少々の道のり。


中川温泉への道からかなたに仰ぎ見る檜洞丸。高い。


中川温泉に到着。町営の温泉施設で一風呂浴びる。目の先の扁額には「温故知新」。日本語では「ちゃぶ台でビールを飲むのは最高」と訳す。


また、しばらく「写真帳」にこの日の写真を掲載します。