高校野球、松坂力投、夫人休日返上指令

高校野球に明け暮れる息子は、最近はテレビで見るプロのすごさを痛感し始めたようだ。先日も、日本のプロ野球の放送でアナウンサーが「サードゴロです」と気のない声で実況するのを掴まえて、思わずこんなことを口にしていた。

「プロはサードに飛んだらそこで終わりだもんな。高校野球はそこからが勝負だよ」


なるほど、見物しているとたしかにそのとおり。
プロのバッターが三塁にゴロを放つ。その強烈な当たりを三塁手がグラブに収めると、100回のうち99回はアウトをとれる。グラブにボールが入ったとたんにドラマは終わる。しかし、普通のレベルの高校生がやっている野球だと、土のグランドの上でしばしばイレギュラーする強い正面付近のゴロを確実に捕球する確率は8割、そこから送球の動作に入った彼がワンバウンドにもならず、一塁手が楽に取れる送球を行ってバッターをアウトにする確率は9割、バッターの足が速くてあわてれば、さらに低いかもしれない。息子の言うとおり、ゴロが転がったとたんに次のドラマが待っている。プロ野球と同じルールでまったく異なるゲームを戦っているアマチュア野球は、それはそれで見ていて興味深い。


これに対して超人の世界、海の向こうのメジャーリーグでは、松坂がアメリカン・リーグの優勝決定戦に勝ち、なんとか面目を保った。これで松井対松坂というプレイオフ前に「あればいいな」と内心考えてた最高のワールド・シリーズが実現することになった。松坂のがんばりに感謝しなければならない。


ボストン・ヘラルドのWeb版に勝利の翌日に掲載された松坂のピッチングを評価する記事に付いている読者のコメントを面白く読んだ。


「松坂よくやった」という記事に噛みついたのは「バーモントのスコット」さん。「ポストシージン4試合を投げて(実際には3試合のはず)5回まで投げたのがたったの1回。1億300万ドル支払ってこれでは冗談としか言いようがない」と辛辣な松坂批判。これに対して、何人ものアメリカ人読者が「松坂は1年目にしてはなかなかよくやった」と擁護のコメントを返している。

■Dace-K does just enough(ボストンヘラルド)


僕は伊良部が投げていた当時から比較的最近までニューヨーク・タイムズヤンキース・ファンフォーラムの読者だったのだが、ヤンキースならとてもこんな調子では許されないな、同じ大都会でもボストンのファンはずっと優しいとあらためて思った。いずれにせよ、「来年はもっとやってくれるはず」という期待が込められているので、来期の成績で松坂の本当の評価が固まることになるのだろう。


昨日のテレビ朝日のニュースで試合翌日の松坂のインタビューを放映していた。試合後はどんな風に過ごしたのかと尋ねられて「スポーツバーでファンの人たちと朝まで騒いでました。女房から『走った方がいいんじゃない?』って言われました」とにこにこしていた。


さっき、通勤途中に隣のおじさんが開いているサンケイスポーツの一面をみたら、大きな見出しが。

松坂走る! 倫世夫人「休日返上」指令

「走った方がいいんじゃない」が「休日返上指令」になるんだから、スポーツ新聞のキャッチのセンスはすごい。自分にはこの見出しを作るセンスが欠けていると常々思っているので、ほんとに感心しちゃう。この記事はWeb上にもあった。

http://www.sanspo.com/mlb/top/mt200710/mt2007102408.html