アイヌの聖地、湖を望む温泉、野ブドウ


北海道旅行の様子を写真でご紹介します。まずは一日目。新千歳空港に降り立ち、札幌に到着するまで。
6時半発の便なもので、家を出たのが5時過ぎ。眠い目をこすりながら一路北海道へ。行きはポケモンジェットに乗ったぞ。



新千歳空港で三上さんにお迎えいただく。三上さんの愛車、スバル・レガシーに乗っての2泊の旅が始まった。



広い道、広い空間の中を南東の方向へ。雲が多く、残念ながら天気はよいとは言い難いが、雲の多い日もそれなりに趣がある。前回も書いたが、アメリカの東海岸、ニューヨークの郊外やニュージャージーのどこかに迷い込んだような風景があちこちに現れて、どこかにしまい込まれている記憶をちくちくと刺激する。そんな道を走ってアイヌの聖地「二風谷(にぶたに)」を目指す。



二風谷を流れる沙流川(さるがわ)の下流に到着。サラブレッドの産地である日高の入り口だ。すでにあちこちにお馬ちゃんや牛さんの姿を散見できる。




沙流川の河口はすぐそば。ということで、ちょっと立ち寄っていこうということになったが、そのたたずまいの素晴らしさに離れがたく、かなりの時間を使ってしまった。



もう海が見えるという場所をバックに写真を撮る三上さん。クビに下げたキャノン・パワーショットをさっと構えてあっという間に撮る。風太郎くんの散歩で鍛えた速写のわざはさすが。



海まで下ってきた。水は茶色く濁り、光の加減でモノトーンに光る。岸に打ち寄せる波は勢いがある。



我々同様お散歩する人の影がちらほらと。このわんちゃんは飼い主の制止を聞かずに歩いている私に向かってわんわんと吠えかかり、近寄ってくる。ところがこちらが足を止めると「ぼく、知らない。別に、何にも、関係ない」という顔をしてそっぽを向く。また、私が歩き始めると吠えながら寄ってくる。なかなか面白い。



画になる光景がばらまかれており、写真を撮っていると時間を経つのはあっという間。似たような画ばかりですが、しばらく「写真帳」にこの時の写真を掲載させていただきます。ここに連れてきてもらっただけで来た甲斐があったと率直に思った。実際、この時の写真がこの旅の中で一番自分のイメージ通りに撮れていた。
写真を撮影中の三上さんと愛車。



馬が遊んでいた。残念ながら今回持ってきたカメラは標準ズームしか付いていない。せめて200ミリまであったら、とこういうときに歯ぎしり状態になる。がんばってお小遣い貯めなきゃ



河口をからとって返し、町に戻る。これから沙流川を遡り、二風谷ダムに向かう。その交差点にレトロな旅館が鎮座していた。人気が無い。廃業してしまったのかもしれない。



こんなところをテロリストが狙うだろうかという思いが一瞬よぎったが、いやいや、そんな甘い認識では日本の平和は守れない。



沙流川に沿って遡ること十数キロ、二風谷ダムに着いた。有明干拓事業などと同じくおなじみの行政の硬直性を示す典型例で、70年代に計画された公共事業が、必要性の是非に関する議論を押しやってアイヌの聖地を水没させてしまった。裁判は1997年の北海道地裁で土地取得を違法とする原告アイヌ側の主張が認められている。しかし、ダム建設差し止めまではならず、こんな景色が出来上がった。



■二風谷ダム(Wikipedia)


水面下のアイヌ集落を幻視する三上さん。



しかし、ダムのデザイン自体は最近の建設物だけあって、かなり洒落ていると思う。つまり、お洒落なものが常に人に望まれているものとは限らないわけで、こういう皮肉はかなり苦い味がする。





ダムを去ろうというタイミングで本格的な雨になった。アイヌ初の国会議員も努めたアイヌ文化継承運動のリーダーで、昨年亡くなった萱野茂の私設博物館がそばにある。展示に見入る三上さん。




沙流川河口の門別の町までとって返し、お昼ご飯。地元のおじさんに教えてもらった蕎麦屋は、路地の一角に看板もなく営業しており、狭いエリアを車でぐるぐる。やっと見つけたお店の手打ちのごぼう天蕎麦は、なかなかおいしかった。



アイヌの聖地に別れを告げ、雨の中を支笏湖に。観光客も少なく、これはこれでいいムード。




ただ、写真を撮るのには辛い光の具合。撮影に関しては多くは望めないものの、せっかくなのでトライ。



支笏湖をぐるっとまわり、湖を湖面の高さから眺める露天風呂のある丸駒温泉にご案内いただく。温泉の中はカメラを持ち込めないので、残念ながら画像はないが、これは他で体験できない風情である。もう日が落ちる直前の時間帯に、温泉の外から支笏湖をはさんで屹立する風不死岳の威容を写真に収める。まだ雨は降り続いている。



温泉の後は日の暮れた山道を一路札幌へ。宿に辿り着く前に三上さんに札幌柔石の石切場跡に案内していただいた。ぶれた写真しか撮れなかったが、ライトアップした幻想的な様子を想像してみてください。



市内のホテルに到着したのはすでに7時をかなりまわった時間。そこで三上さんにいただいたおみやげを写真に収めた。野ブドウは三上さんが散歩の途上で採ってくださったもの。口に入れると野草ならではのすっぱさが口いっぱいに広がったが、そののちにほんのりと甘みがやってきた。
その下にあるのは、三上さんが私のためにわざわざ作ってくださったお手製のガイドブック。行程に関する地図と、Webから採った解説文を組み合わせきれいにファイルした素晴らしいもの。これは私の宝物だ。三上さんには何から何までお世話になってしまった。