鳩の成る木

我が家の最寄り駅を降り、高架の上に作られた改札口を出ると、そこはタイル張りのちょっとした広場になっている。正式名称はあると思うのだが、ほとんど誰もそんなものは気にとめていない。しかし、子どもたちの話を聞いていると、その場所は周囲の中学生たちには「はとひろば」で通っていることが知れる。「9時に“はとひろば”集合ね」などという会話が当たり前のように流通している。大人たちは誰も知らないその通り名は、これからも土地の中学生に受け継がれていくのだろうか。

その広場の端っこにある木には暑さを避ける鳩たちが群がる。ときにはこの写真にある以上の鈴なり状態で、ヒッチコックの『鳥』を連想したりするが、大きいカラスが一羽舞い降りると、やつらはあわてふためいて舞い上がり、ちりぢりになる。『鳥』の迫力はない。

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