梅田さん・吉岡さんの対談をYouTubeで聴く


梅田望夫さんの講演会の様子をYouTubeで観た。本当は当日参加してみたかったのだが、席に限りがあるイベントで僕のような非若者世代が参加するのは本当に参加すべき若いエンジニアの人に迷惑だし、梅田さんも喜ばないだろうと考えて応募を遠慮した。場の空気は吸えなくても、こんな風に当日の様子を再現してもらえるのであれば、言うことなしだ。あらためてYouTubeの利便性を思い知る。

http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060901/p1

ラクル・リナックスの吉岡弘隆さんの大人(たいじん)の風貌と包容力のある話ぶりに接して、この方にご挨拶できたんだったらやっぱり応募すればよかったとちょっとだけ後悔する。機会があればどこかでお会いしてみたい。

オープンソースの話、Linuxの話、『ウェブ進化論』刊行後の梅田さんにおきた変化の話、「はてな」の話と、どれも興味深く聴けたが、もっとも印象深いのは「はてな」と近藤さんに対する梅田さんの感想だった。拝金主義的な雰囲気が強まっている今の日本で、あるいは仕事に行けば当然のことながら売上・利益の向上という原理にしたがって行動することを求められる世の中で、梅田さんの描く「はてな」の人たちが、お金よりもエンジニアとしての夢を優先させて仕事に取り組んでいるという話にはどきどきした。

かつて西田敏之が『もしもピアノが弾けたなら』という歌を歌っていたが、梅田さんが語る「はてな」の話を聞いて『もしもプログラムができたなら』という無理難題、支離滅裂な願望に一瞬とらわれる。お金をめざすという意味ではなくて、それによって何か夢を追えるのではないかという意味で。

それにしても、「取締役会の決議事項が社内であっさりと無視される会社」というのは何なんだろうと、困惑とともに心が揺さぶられる。あるいは、「目下の成長よりも形の見えない大きな夢が大まじめに優先される会社」の存在に、と言い換えてもよい。営利組織というよりは、昔ながらの芸術家気質の集団をイメージすべきなのだと思う。そういう会社が東京にあって、その会社の行く末に数多くの人々が支持を表明し、そのリーダーの一挙手一投足を見守っていると考えると、心のどこかが自然と温かくなる。

これと対照的だったのは、東京でオープンソースをビジネスとして押し進める吉岡さんが、“こちら側”の人たちとコミュニケーションを取るためにスーツにネクタイというプロトコルを戦術として選んでいるいう話。身につまされるものがある。あぁ。