茂木健一郎さんと菊地成孔さんの対談に行く

茂木健一郎さんの対談イベントを聴きにいってきた。

http://www.clubking.com/news/2006/08/post_38.html

アップルストア銀座が開催する無料の対談イベント。今回がイベントは5回目でゲストは音楽家菊地成孔さん。僕は恥ずかしながら今日までどんな方か知らなかった。他人に対する配慮と鋭敏な神経をお持ちの方で、茂木さんの対談相手として実に適切な人選と見えた。

このイベントは、10月になれば上記クラブキングのサイトにテキストでアップされ、映像も公開されるそうなので、ここでは内容についてはいっさい言及しません。とても刺激的な対談なので、茂木さんの言説や人となりにご興味がある方には、ぜひ視聴をお勧めします。


初めて見聞きする茂木さんのしゃべりは、案の定普通ではなかった。我々一般人の何倍かの速度で頭が回転している感じで、次から次へと早口で言葉が繰り出される。それがその場にとどまっているおしゃべりではなく、議論の流れを作り、議論の流れを創造的に壊し、新しい流れを作り、という作業を間断なく行うしゃべりなので、めまいがしそう。聴衆はジェットコースターに乗って、次々と新しいアングルから高速度の風景を見せられるよう。次の瞬間に話題がどこに向かうのか、はらはらどきどきの連続。


小林秀雄が座談の名手だったという話を茂木さんが引用しているのを『三上のブログ』が紹介しているが、茂木さんは小林秀雄を茂木さん流に演じようとしているのかな。

■「ブログの文体」(『三上のブログ』2006年9月5日)


イベント会場は銀座の目抜き通り、アップルが作った日本の営業拠点の3階。100席程度のとてもアットホームな規模でよかったが、立ち見がいっぱいでざっと数えたところ80人ぐらいは立っていたのじゃないかしら。聴衆は驚くほど若く10代、20代ばかり。僕は正直なところ場違いなおじさんだったかもしれないが、茂木さんがトークの中で「年齢じゃない」という話をしていたのに共感。日本の中年は残業か、飲み会か、家族サービスか。


犯則かもしれないけれど、一つだけ、発言内容を紹介させてもらうと、場内からの質問に答えるかたちで、茂木さんは散文を書くときは常にアドリブで、書く前に構成を考えることはないとおっしゃっていた。『生きて死ぬ私』も、『クオリア日記』もまさにそういうものに感じられたので、とても納得。